ドラレコ「録画中ステッカー」にドライバーの不満爆発? でも、なんやかんやで貼らねばならぬ現実と事情

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「ドラレコ搭載車」や「録画中」のステッカーが広まってきた。このステッカーが一部のドライバーの反感を招いている。なぜ嫌がられるのか。なぜ嫌がられても貼るドライバーが増えているのか、解説する。

ステッカーだけでも「抑止力」に

ドラレコ「録画中」ステッカー(画像:写真AC)
ドラレコ「録画中」ステッカー(画像:写真AC)

 ドライブレコーダーの普及につれて、「ドラレコ搭載車」や「録画中」のステッカーが同様に広まってきた。車のリアウインドーに貼って、後ろを走る車のドライバーに「ドライブレコーダーを搭載していて、録画していますよ」という旨を知らせるものだが、これらステッカーが一部のドライバーの反感を招いているようである。なぜ嫌がられるのか。なぜ嫌がられても貼るドライバーが増えているのか。また、掲示義務はあるのかなどについて解説したい。

 ドライブレコーダー(以下「ドラレコ)は道路状況を映像にして客観的に記録するツールであり、日本では2003年のタクシーへの搭載が皮切りとなって、徐々に浸透してきた。事故が起きた際に証拠として有効活用される(詳しくは後述)のが主な役割だったが、最近ではドラレコで撮影された動画がネット上で公開され、しばしば世間の関心を集めることがある。穏やかなドライブの様子や、事故の瞬間を切り取ったもの、偶然出くわした無謀な運転を撮影したものは特に人気があるようだ。

 近年、あおり運転の取り締まりが強化され、「あおり運転をしたら捕まる」という認識がドライバーにすっかり定着した。「録画中」ステッカーはこの認識を利用する形で、「もしあなたがあおり運転をしたら、その証拠は撮影していますからね」と注意を促しているわけである。

 あおり運転は、事故につながりかねない危険な運転であるから、未然に防げるに越したことはない。「録画中」ステッカーはドライバーへの注意喚起を行い、あおり運転抑制に一定の効果を上げるだろうからよさそうなものだが、なぜ一部のドライバーの反感を招いているのか。

 これはもう、単純な人間心理であろう。純真無垢(むく)で無警戒な心持ちのところに、いきなり「悪いことするなよ」という警告を突きつけられたら、普通の人なら「そんなこと最初からするつもりはない」という反感が、大なり小なり湧き上がるはずである。ネット上に散見されるそれら怨嗟(えんさ)の声の中には、「録画中ステッカーを貼っている車に限って運転が危ない」などの非難もあり、さらにそれに対して「『運転が危ない』と感じられるほど車間を詰めて走っているおまえの運転の方が危ない」との反論があり、もう泥沼である。

 そもそもあおり運転さえこの世に存在しなければ生まれなかった悲しい争いなのだが、そうは言っても始まらない。運転中は、多くのドライバーがそうであるように、非常にイライラしやすい心理状態にあるため、ステッカーのメッセージに過敏に反応してしまうという部分はあるかもしれない。

 なおステッカーの言い回しにも微妙に差があり、「後続車のドライバーの気分を害する度」を軽い順から並べていくと、「ドライブレコーダー搭載車→(後方)録画中・撮影中→(後方)監視中」などがある。さらには「見てるぞ!」や「あおり運転は犯罪です」といったもっと具体的なメッセージのものもあるようだ。

 こうしたステッカーを貼った人は、「あおり運転されることや、車間を詰めてくる後続車がグッと減った」と話している。効果がかなり期待できるようで、この種のステッカーが100均などで簡単に手に入ることからもその人気がうかがえる。実際にドライブレコーダーを搭載しているか否かに関係なく、ステッカー1つで抑止力を手に入れることができるのである。

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