タクシーを「つかまえる」という発想自体が、もはや時代遅れすぎるワケ
駅や街中で「タクシーがつかまらない」という状況が増えている。その理由をタクシードライバーでもある筆者が解説する。
配車アプリの台頭
タクシーを探している時、遠くにかすかに見える赤い文字。期待しつつ近づくのを待っていると、その赤い文字は「空車」ではなく、「迎車」の文字だった……。このような経験をした人も多いのではないだろうか。実際、「迎車」となっているタクシーを目にする機会が増えたという乗客もいた。
その最大の要因は、タクシー配車アプリの台頭である。わざわざタクシーをつかまえるため通りに出る必要がなく、自宅や今いる場所にタクシーが来てくれる。「door to door」、まさにタクシー最大の利点が有効に活用されている。タクシー会社に電話を入れて配車を頼む方法も昔からあるが、アプリは乗車位置指定や決済の手軽さで、利便性が高い。
タクシー配車アプリの台頭が生んだ風景がある。人通りの少ない住宅街で待機するタクシーだ。サボっているのかと思いきやそうではない。そこは、アプリ配車が多い場所であり、待ち構えているのだ。ドライバーは過去の配車場所のデータを参考にしたり、同僚から情報を得たりして、待機場所を決めている。
今までは、ターミナル駅や繁華街、人が集まるイベント会場前などで乗客を拾うのが営業セオリーだったが、タクシー配車アプリをよく使う利用者の居住地や会社に張り付くという営業スタイルが浸透しつつあるのだ。タクシーの営業スタイルを変化させるくらいの影響力が、タクシー配車アプリにはある。