「船で通勤」は本当に普及するのか? 絶景味わえても課題山積、実際に通勤してみた

キーワード :
,
「withコロナ」の今、満員電車で通勤する苦痛・不快感を、以前より強く感じる人も多いだろう。ゆったりと座って通勤できる舟運通勤が選択可能となれば、利用したいという人も多いのではないだろうか。

自身の通勤経路とマッチするかどうかが鍵

 らくらく舟旅通勤第2弾で用意されたルートは以下の通りだ。

【朝】
・両国~日の出~天王洲 (約70分)
・日本橋~朝潮運河~日の出 (約35分)
・豊洲ぐるり公園~日の出~お台場海浜公園 (約55分)

【夕】
・天王洲~日の出~朝潮運河~一之江 (約130分)
・日本橋~朝潮運河~日の出~お台場海浜公園 (約60分)

【朝夕とも運航】
・天王洲~五反田 (約25分)

 料金は、「天王洲~日の出~朝潮運河~一之江」で一之江まで乗船する場合には1000円。「天王洲~五反田」が200円。それ以外が500円である。

 例えば筆者が利用した日本橋から日の出の場合、公共交通機関を使うと440円、19分となる。(日本橋駅から都営浅草線特別快速乗車、新橋駅でゆりかもめに乗り換えた場合)

 料金はそれほど変わらないが、約20分余計に時間がかかる舟運通勤を、日常の通勤経路として受け入れられる人は限られてくる。

 上記6航路のうち、交通費が安くなるのは「天王洲~五反田」だけである。(五反田駅からJR山手線乗車、大崎駅でりんかい線に乗り換え天王洲アイルまで乗車した場合、420円)。ただし、時間は電車約12分に対し、舟運通勤では25分かかる。

 舟運通勤は確かに心地よい。「痛勤」ラッシュとも揶揄(やゆ)される、バスや電車を使った通勤に比べれば、心身両面での快適度ははるかに高い。テレワークの普及や、フレックスタイム制度の浸透など、働き方改革の一環として、働き方の多様化を目指す文脈とも合致する。

 だが夏は暑く、冬は寒く、そして大雨や台風などの悪天候によって運休する可能性もある舟運通勤を、快適さという限られた尺度だけで論じ、かつ実現させるのには無理がある。

 次回は、東京という進化し続ける街におけるインフラとしての必要性から、舟運通勤を考えてみよう。

全てのコメントを見る