中国製ドローン禁止令なぜ? 国産メーカーは風に乗れるか 求められる性能とコスパ
災害対応やインフラの点検で、ドローンの活用が急速に広まっている。その多くが中国製というなかで、日本政府は事実上の中国製ドローン排除を打ち出し、各者が対応に迫られている。一方で国内メーカーは、この追い風に乗れるのだろうか。
実はコスパより性能? 国内ユーザーのニーズとは

では、国内ユーザーの要求とはどのようなものだろうか。前述した消防庁の消防・救急課がまとめたレポートには、実際にドローンを災害時に活用した消防本部へ対して行った、今後ドローンの活用にあたって改善すべき点のアンケート結果も掲載されている。その中で最も多く挙げられていたのが、「悪天候でも対応可能な全天候型の無人航空機」の必要性だ。
悪天候に耐える国産ドローンのひとつとして、秋田県に本社を置く東光鉄工株式会社UAV事業部が開発したドローン「TSV-RQ1」が挙げられる。二重モノコック構造の採用により、最大風速18/秒の状況でも飛行できる耐風性能と、高い防塵防水性能(IP55)を実現し、台風通過直後の強風や強雨といった環境下でも安定した飛行が可能とされている。
また、前述したアンケートでは、「操縦者の育成が困難」であることも改善すべき課題のひとつとして挙げられているが、東光鉄工UAV事業部はドローンオペレーターの育成サービスも開始している。
政府が定めた公的機関からの中国製ドローン(UAV)の事実上の排除方針が、国内のドローンメーカーにとってビジネスチャンスであることは間違いないだろう。ただ、価格競争力や運用実績の面などで一日の長がある中国メーカーに対抗し、ビジネスチャンスをつかむためには、東光鉄工UAV事業部のような、国内ユーザーの要求や要望に応えた製品開発とサービスの提供が必要であると筆者は思う。