ドーハメトロに続けるか? 三菱重工業「交通システム事業」の知られざる可能性とは
FIFAワールドカップ・カタール大会で、サムライブルーが快進撃していたなか、三菱重工業がリーダーとする5社連合が手掛けてきたドーハメトロもひそかに注目を浴びていた。
ドーハメトロに続けるか
三菱重工業は、ドーハメトロを「都市交通システムとしては世界最大規模のプロジェクト」と表現しているが、新交通システムが主戦場の同社からしても規模が非常に大きいプロジェクトだった。
にもかかわらず受注に成功したのは、2014年3月の入札以来11か月にわたる交渉を通じて5社連合の技術を評価されただけでなく、日本政府によるカタール国へのインフラ建設支援のアピールも功を奏したといわれている。
実は三菱重工業は、2023年4月1日付けで三菱重工エンジニアリングを統合すると、11月30日に発表したばかりだ。「事業体制の強化により市場環境変化や顧客ニーズへの即応を狙う」として本体から切り離したはずであるが、
「社長直下の組織に配置してエナジートランジションや社会インフラのスマート化におけるソリューションビジネスをさらに加速する」
として、わずか5年で元に戻すのである。
直前事業年度の売上高を比較すると、三菱重工業の約1兆2334億円に対し、三菱重工エンジニアリングは約918億円とわずかである。交通システム事業は、ドーハメトロのようなフルターンキー方式により、大型案件を受注できれば1000億単位で売り上げが得られる魅力があるが、あくまでもライバルとの競争に勝ち抜いて受注できればの話である。
そこに交通システム事業の難しさがあるものの、あえて本体に戻すのであれば将来の成長を見越してのことだろう。三菱重工業が、交通システム事業をどのように成長させていくのか興味が持たれるところだ。