疑問だらけの東京「臨海地下鉄」 成功するには「公設民営」上下分離の整備しかない!

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東京都は、都心と臨海部を結ぶ約6kmの地下鉄新線の事業化に着手する考えだ。起点は首都の玄関口である東京駅とし、銀座や築地、豊洲などを経由して、有明まで全7駅を設け、2040年代前半の開業を見込んでいる。

宿泊税の値上げが必要だ

都内ホテルのイメージ(画像:写真AC)
都内ホテルのイメージ(画像:写真AC)

 都民税を値上げすれば東京都民が困り、高運賃を設定すれば利用者負担となるから、需要が低迷する。東京都は宿泊税を徴収している。対象は都内の旅館・ホテルの全ての宿泊者で、宿泊料金ひとり1泊1万円以上1万5000円未満の場合は100円、1万5000円以上の宿泊では200円が課税され、宿泊事業者が東京都に納めている。なお、2018年度の税収は27億円だった。

 筆者は宿泊税を値上げして、地下鉄建設の財源を確保するべきだと考える。筆者の考える東京都の宿泊税は次の通りだ。

・宿泊料金が5000円以下の場合:200円
・宿泊料金が5000円以上1万円以下の場合:300円
・宿泊料金が1万円から2万円未満の場合:500円
・宿泊料金が2万円以上3万円未満:1000円
・宿泊料金が3万円以上5万円未満:2000円
・宿泊料金が5万円以上:3000円

 仮に、1泊1万円のホテルの宿泊税(現行100円)を500円に値上げをしても問題ないだろう。なぜなら、横浜や千葉のホテルに宿泊する場合、移動の交通費が当然必要となり、

「宿泊税より割高」

になるからだ。それゆえ、利用者は東京都区内のホテルに宿泊する。宿泊料金が1泊5万円以上のホテルに宿泊する人は、そのホテルの「ブランド」に宿泊料を支払っているため、宿泊税が3000円になっても他県のホテルに移るとは考えにくい。

 晴海や有明方面へ向かう地下鉄新線の建設に関しては、従来のように公が起債を行って資金を調達し、建設を行い、東京メトロなどの民間事業者や都営地下鉄が運賃収入で建設費を回収するやり方は時代遅れだ。完成後は公有民営の上下分離経営を採用して、固定資産税の支払いを免除する配慮が必要な時代なのである。

 そのように発想を変えないと、住民からも

「赤字必至の地下鉄新線は不要」

という間違った判断が下され、いつまでたっても建設されないだろう。筆者はこれを最も危惧している。

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