疑問だらけの東京「臨海地下鉄」 成功するには「公設民営」上下分離の整備しかない!

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東京都は、都心と臨海部を結ぶ約6kmの地下鉄新線の事業化に着手する考えだ。起点は首都の玄関口である東京駅とし、銀座や築地、豊洲などを経由して、有明まで全7駅を設け、2040年代前半の開業を見込んでいる。

公設民営の上下分離方式で整備

東京メトロのウェブサイト(画像:東京地下鉄)
東京メトロのウェブサイト(画像:東京地下鉄)

 事業者が運賃収入で軌道系都市交通の建設費を償還しようとすれば、非常に長期間を要する。また、黒字・赤字は何を基準として言うのかで、その意味合いは変わる。

・建設費用の回収まで加味して考えた場合
・ランニングコストだけで考えた場合

とでは、結果が大きく異なる。東京都は

「開業から30年後に黒字になるようにしたい」

としていることから、建設費も含めて回収することを目指しているのだろう。

 地下鉄などの軌道系都市交通を整備する場合、「費用便益分析」が実施されるものの、黒字が見込まれることを前提とするため、実際の需要より

「2倍も多い需要」

を見積もる。その反面、建設費に関しては実際の

「半分程度」

に見積もられたりする。このような事態を回避するためには、徹底的な情報公開を行い、PI(住民参画)などを実施して、住民の意見も聞きつつ、ともに考える姿勢が重要だ。

 晴海・有明方面へ新規に地下鉄を建設する場合、「公設民営」の上下分離方式を採用して、公が建設を行い、東京メトロなどの民間企業や都営地下鉄が列車の運行を行うことが望ましい。

 だが、完成後のインフラを民間が所有するとなれば、固定資産税などの支払いが生じるため、公有民営の上下分離経営を採用して、インフラも公が所有するようにしたい。そして、東京メトロなど民間事業者や都営地下鉄が線路使用料を支払うようにすれば、初年度からでも黒字経営が実現する可能性が高くなる。

 建設に関しては、主に東京都が起債を行って資金を調達する必要があるものの、それ以外に宿泊税を少し値上げする方法を検討しなければならない。道路交通渋滞が著しい東南アジアの大都市では、外国人が宿泊する高級ホテルの宿泊に対して課税を行い、地下鉄などの軌道系都市交通の整備を行っている。

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