スラムダンク映画で再注目! 江ノ電「鎌倉高校前」に見る聖地巡礼と自治体の蜜月、二匹目のドジョウで聖地乱立か

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劇場版が好調な「スラムダンク」。そんな同作アニメ版のオープニングに登場するのが鎌倉高校前の踏切だ。

自治体にとっては「ぬれ手で粟」

大洗駅と鹿島臨海鉄道(画像:写真AC)
大洗駅と鹿島臨海鉄道(画像:写真AC)

 アニメやマンガ、ドラマの舞台となった聖地は、一般的な観光地ではなかった。そのために観光資源とは認識されず、自治体や観光協会も当初は対応に困っていた。

 なぜなら、爆発的に聖地巡礼者が増えてしまうと地元住民たちが困惑してしまうこともあった。住宅街に聖地巡礼者が押し寄せれば、ゴミのポイ捨てや路上駐車が増えてしまって、静穏な住環境が脅かされるといった不安も増大する。

 そのため、当初は自治体や観光協会も聖地巡礼者をどう扱っていいのか手探り状態が続いた。観光振興をしたいと考えている自治体でも、住民とのハレーション(悪影響)を避けるべく静観を決め込む自治体は少なくなかった。

 それでも、歳月とともに少しずつ住民の間には聖地巡礼への理解も広がる。茨城県大洗町がアニメ「ガールズ&パンツァー」の舞台となり、地元自治体・観光協会と鹿島臨海鉄道などが積極的に受け入れ態勢を築いたことで、まちおこしの成功例として語られるようになった。こうした成功例が出てきたことで、自治体・観光協会などが聖地を前面に押し出すようになっていく。

「費用を抑えつつ、観光客を呼ぶ」

という、本来なら“無理ゲー”とも思えるような政策は聖地巡礼によって図らずも達成可能になった。自治体にとって、まさに「ぬれ手で粟(あわ)」と言っていいだろう。

 今後、金のかからない政策として地方自治体は聖地巡礼地を探すことに躍起になるだろう。行政は横並びの意識が強いので、一時的に全国に聖地が乱立することが予測される。行政主導で乱立した聖地には、見向きもされないものも生まれるだろうが、そこから新たな宝も発見されるはずだ。

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