スラムダンク映画で再注目! 江ノ電「鎌倉高校前」に見る聖地巡礼と自治体の蜜月、二匹目のドジョウで聖地乱立か

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劇場版が好調な「スラムダンク」。そんな同作アニメ版のオープニングに登場するのが鎌倉高校前の踏切だ。

自治体が聖地巡礼者に注目するワケ

スラムダンクのオープニングに登場した江ノ電の踏切。向こう側には海岸が広がる(画像:小川裕夫)
スラムダンクのオープニングに登場した江ノ電の踏切。向こう側には海岸が広がる(画像:小川裕夫)

 こうした聖地巡礼者に対して、行政も急速に関心を高めている。以前から聖地巡礼者は多く見かけたのに、なぜコロナ禍後の今になって自治体は注目するようになったのか。

 その理由は、自治体財政・地域経済がコロナ禍によって疲弊していることにある。2020年初頭に感染拡大した新型コロナウイルスにより、それまで年間3000万人以上の訪日外国人観光客が消失した。各地の観光地が、大ダメージを受けたことは言うまでもないだろう。

 コロナ禍でダメージを受けたのは、いわゆる観光客を相手にする宿泊業や土産品店、郷土料理などをウリにする飲食店といった観光産業が目立つが、日常的に使われるスーパーマーケットやコンビニ、鉄道事業者などもコロナ禍で経営危機に追い込まれる。

 これら日常的に使うスーパーマーケットやコンビニ、鉄道事業者は暮らしに欠かせない生活インフラとも言える存在だけに、これらが細ってしまえば地域の暮らしは成り立たなくなる。

 住民の暮らしを守る責務を負う自治体にとって、これら生活インフラを墨守することは最重要課題と言っても過言ではない。しかし、コロナという感染症にはどうにも手の打ちようがなかった。

 このほど政府が外国人観光客の入国制限を緩和するという方針を受け、各地には少しずつ観光客が戻りつつある。ようやくアフターコロナの政策を打てる段階になったわけだが、コロナで疲弊した観光地を経済的に立て直すことは容易ではない。なぜなら、コロナ禍を理由に廃業してしまった店も多いからだ。

 市町村にとって、地域経済の建て直しは喫緊の課題と言える。しかし、コロナ禍で自治体の税収も細っている。財源も厳しく、地域経済や観光政策を立て直すために投じられる財源的な余裕は少ない。

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