佐賀県民が「信号のない横断歩道」で一時停止しない理由 ノンビリ気質なのになぜ?
のんびりした佐賀県の数値が低い理由
さらに、一時停止するドライバーの数は都道府県で大きな隔たりがある。前述の39.8%は全国平均だが、最も多い長野県では
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「82.9%」
となっている。一方、最も少ない沖縄県では
「20.9%」
である。
また、隣り合った地域でも隔たりがある。東北地方のトップは青森県で56.7%。最低は宮城県の48.6%となっている。東北地方では、約半数のドライバーが歩行者を見たら一時停止するのが常識なのだ。
一方、関西を見ると、
・兵庫県:64.7%
・京都府:23.5%
・大阪府:26.4%
・奈良県:32.1%
・和歌山県:22.5%
と、兵庫県が突き抜けている。また、九州(沖縄県を除く)では
・福岡県:52.5%
・佐賀県:25.1%
・長崎県:40.9%
・熊本県:57.3%
・大分県:32.9%
・宮崎県:53.5%
・鹿児島県:38.0%
となっており、佐賀県だけ20%台だ。筆者(碓井益男、地方専門ライター)は取材で何度か佐賀県を訪れたが、気性が荒い県民性のイメージはない。むしろのんびりしたイメージだ。しかし、実は交通マナーが問題になっている県なのだ。
2020年上半期、コロナ禍で交通量が減ったため、全国の交通事故死者数は統計を取り始めた1956(昭和31)年以降、最小になった。ところが、佐賀県だけは死者が増加に転じたのである。
2020年上半期、佐賀県では22人が交通事故で死亡しているが、そのうち、道路横断中に車にはねられたのは半数の11人だった。そのなかの8人は、次の条件にあてはまった。
・横断歩道のない道路を横断中の事故
・死亡者全員が65歳以上
この結果から、
・カーナビの普及で、生活道路を抜け道として利用するドライバーが増えている
・高齢者が「車は自分を確認して止まってくれる」と思い込んでいる
という要因もあり、事故が発生しているという分析もなされている。