悪質な「撮り鉄」はなぜ増えたのか? 通行者への止まない罵倒、時代の進化が生んだ怪物と古参ファンの良心

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絶えない「撮り鉄」トラブル。良心的な鉄道ファンはこのことをどう思っているのだろうか。

かつては体育会的な空気も

線路(画像:写真AC)
線路(画像:写真AC)

 1980年代から全国の鉄道を追いかけてきたベテランの鉄道ファンの男性に、この結果を伝えると、確かに21世紀に入ってからマナーを知らない鉄道ファンは急増したという。

「以前は、どの列車がどこを通過するか――などの基本情報を知るためには、鉄道サークルに参加したり、信頼できる人間関係を作ったりしなればなりませんでした。ところが、SNSでそうした情報を誰もが知れるようになったため、最低限のマナーすら教えてもらう機会がなくなってしまったのです」

 男性によると、かつては鉄道ファンの間には体育会的な空気もあったという。

「撮影の際、頼まれてもいないのに“場を仕切る人”がいました。それこそ、三脚がはみ出していたら怒鳴られましたし、1980年代までは、マナー違反の人に“殴って教える”なんて当たり前でした。お互いのコミュニケーションも密で、そもそもマナーを知らない人にはしっかり教えることが当たり前だったのです。今は個人行動ですから、撮り鉄同士がけんかになっても、誰も止めません」

 同士との心のこもった交流(もちろん“殴って教える”はダメ)を楽しむことなく、ただ撮影、SNSにアップロードして悦にひたっている――。そんなやからが多いままでは、いつまでたっても、自浄作用など期待できない。

 穏健な撮り鉄の皆さんへ。そろそろ、この問題を真剣に考えてみてはどうだろうか。鉄道ファンの“誇りと良心”を見せる絶好の機会である。

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