脱炭素の大号令、実は上級国民の「綺麗事」に過ぎなかった? BEVを通して再考する

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世界各国で開発が進み、その販売台数も急増しているバッテリーEV。しかしそれは、本当に環境に優しい乗り物なのだろうか。

米人、環境のために大金を払いたくない?

米人の68%は気候変動抑制のために月に10ドル以上余分の電気代を払いたくないと考えている(画像:AP-NORC)
米人の68%は気候変動抑制のために月に10ドル以上余分の電気代を払いたくないと考えている(画像:AP-NORC)

 米国の環境意識が低いわけではない。

 カリフォルニアと他11州(ニューメキシコ、コネティカット、ニューヨーク、イリノイ、オレゴン、メーン、ロードアイランド、マサチューセッツ、バーモント、ニュージャージー、ワシントン)は、長年世界で最も厳しい排気ガス規制と燃費規制に取り組んできた。

 それにもかかわらず、米国車の脱炭素は進んでおらず、米国環境保護庁(EPA)は、車は大きく、重く、高出力化し、燃費も悪化し続けていることを示した。

 シカゴ大学の全米世論調査センターAP-NORCの調査によると、米国人の68%は気候変動のための追加電力料金を、10ドル以上は払いたくないと考えている。

なぜ人気? 米国人の嗜好と消費動向

 なぜ米国でピックアップBEVが売れるのか?

 第一に、米国人は大排気量V型8気筒の大型車を好み、都市部以外では特にピックアップ・トラックが人気だ。第二に、米国民は燃料価格に敏感で、燃料価格が上昇すると燃費の良い車が売れる。

 米国ではEPAが承認した燃費(と環境ランク)ラベルを新車に貼り付ける義務がある。

 F-150ライトニング(BEV)は、平均的な(ガソリン)ピックアップ・トラックに比べて前述の「mpg(e)」では「燃料費が5年間で1750ドル節約できる」と、ラベルには記載されている。

 米国人はLCAでのCO2排出量である「正味エネルギー効率mpgE」には興味がなく、「走行時のエネルギー効率mpg(e)」が良いF-150ライトニングを買うのだ。

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