時刻表トリックが使えない? 昭和・平成人気の「鉄道ミステリー」がいまや瀕死状態なワケ

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鉄道ミステリーは昭和・平成時代に人気だったが、現在衰退の一途をたどっている。その背景にはいったい何があるのだろうか。

ミステリーモノを得意とするテレビ朝日

踊り子(画像:写真AC)
踊り子(画像:写真AC)

 テレビ朝日は刑事モノや時代劇といった勧善懲悪が得意分野で、『西村京太郎トラベルミステリー』のほか、昭和30年代の寝台特急「あさかぜ」博多行きを舞台とした松本清張の代表作、『点と線』もビートたけし主演でドラマ化され、2007(平成19)年11月24、25日に放送された。

 この作品は『旅』1957年2月号(日本交通公社刊)から連載小説として掲載されたのが始まりで、当時は初代ブルートレインの20系が存在していなかった(20系は1958年に登場)。ドラマでは蒸気機関車と旧型客車が“脇役”として出演し、可能な限り往時を忠実に再現した。

 翌2008年1月1日には、水谷豊主演でおなじみ、『相棒 season 6』の元日スペシャルで、「寝台特急カシオペア殺人事件! 上野~札幌1200kmを走る豪華密室! 犯人はこの中にいる!!」を放送。特命係の杉下右京警部と亀山薫巡査部長(現・嘱託)が、東京で逮捕した容疑者をなぜか寝台特急「カシオペア」札幌行きで護送することになった。

 まず、車中で殺人事件が発生し、杉下警部が真夜中の推理でスピード解決を図り、函館駅で容疑者を北海道警の警察官に引き渡す。札幌で護送終了後、今度は寝台特急「カシオペア」の女性客が復讐(ふくしゅう)殺人することを把握し、犯行を止めるため、その現場へ急行した。

『相棒』以外の連ドラとしては、国鉄の鉄道公安職員を舞台に石立鉄男主演の『鉄道公安官』、鉄道警察隊を舞台に宇津井健、三浦洋一主演の『さすらい刑事旅情編』、同じく柴田恭兵主演の『風の刑事東京発!』が制作された。

 特に『さすらい刑事旅情編』は7シリーズ続き、他道府県警察との合同捜査という名目で全国を飛び回ったほか、寝台特急「北斗星」やエル特急(現・特急)「踊り子」を舞台とした作品が数回制作された。

 他局だと、日本テレビで放送された2時間ドラマ番組『火曜サスペンス劇場』の『浅見光彦ミステリー7 備後路殺人事件』で、ルポライター浅見光彦の知人女性がJR西日本三次駅の跨線橋内で殺された。いても立ってもいられない浅見光彦は、兄で警察庁刑事局長を務める浅見陽一郎などの力を借り、事件解決に奔走した。

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