次世代半導体より遥かに重要な「半導体不足解消」 手本にすべきはテスラだ
半導体不足で生産調整が続く自動車業界

次世代半導体の開発はさておき、半導体と聞いてまず思い浮かべるのは、自動車メーカーの生産調整だ。11月上旬に発表された第2四半期決算において、自動車メーカーがこぞって半導体不足を理由に本年度の生産台数を引き下げている。
例えば、トヨタ自動車は
「本年度の生産台数を当初970万台としていたが、半導体の調達など依然として先を見通すことができないため、50万台引き下げて920万台としました」
と、第2四半期決算で公表した。
また、10月末には半導体不足を理由に、一部の車種について納車時におけるスマートキーの個数を2個から1個にして、準備でき次第、残りの1個を納品すると発表していた。
もちろん、スバルや日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車も年間生産台数や販売台数を引き下げており、中には受注を停止した車種もあるくらいだ。主な自動車メーカーの生産台数などの見直し(単位:万台)は次のとおりだ。
・トヨタ(生産台数):970 → 920(マイナス50)
・スバル(生産台数):100 → 97(マイナス3)
・日産(販売台数):400 → 370(マイナス30)
・ホンダ(販売台数):420 → 410(マイナス10)
・マツダ(出荷台数):118 → 110(マイナス8)
・三菱自動車(売り上げ台数):109 → 107.1(マイナス1.9)
そもそも、なぜ自動車メーカーが半導体不足にあえいでいるのだろうか。
半導体依存度が増加するも調達厳しく

実は、自動車業界は半導体メーカーにとってあまり重要ではない顧客だ。半導体の多くは、PCや携帯電話(スマートフォン)、サーバー向けに生産されている。自動車向けの半導体は、半導体の種類や集計方法により異なるものの、全生産量の
「約1割」
しかない。自動車メーカーが増産を働きかけたところで、生産ラインを変更してまで対応したくないのが、半導体メーカーの本音だろう。
とはいえ、電気自動車をはじめ、安全対策や自動運転技術の高度化、各種センサー、コネクティッドサービスなど、自動車の半導体依存度はますます高くなっている。
経済産業省の資料では、2020年では約50兆円の市場規模が、2030年には
「約100兆円」
と倍増する見込みである。また、自動車の半導体需要も2~3倍に膨らむと見られている。
このままでは、電気自動車や自動運転技術で世界と戦うにあたり、半導体不足が足かせとなりかねない。半導体の確保が自動車メーカーにとって生命線となるのだ。まさに、半導体は「産業の米」といわれるとおりである。