球団を経営した鉄道会社は全部で9つ! 阪急、阪神、南海、西鉄、近鉄、西武……残った3つは?

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現在は阪神タイガースと埼玉西武ライオンズのみだが、かつては同時に8球団に鉄道事業者が関わっていた時期さえあるのだ。

90年代までに3球団に

グラブとボール(画像:写真AC)
グラブとボール(画像:写真AC)

 鉄道系7球団体制は約12年続き、途中、大阪タイガースが阪神タイガースとなった。そこから最初に離脱したのは国鉄だ。慢性的な経営難にあえぐ国鉄は、1965(昭和40)年に球団をサンケイ新聞とフジテレビに譲渡。チームはサンケイスワローズとなる。続いて西鉄が1972年に球団を福岡野球という会社に売却。球団名はメインスポンサー名を冠し、太平洋クラブ・ライオンズと名乗った。

 1973年には東急が系列を離れた東映に球団を譲渡。東映はすぐにそれを不動産会社・日拓ホームに売却し、新球団名は日拓ホームフライヤーズに。

 減少が続く鉄道系球団だが、1978年オフに25年ぶりの増加があった。西武鉄道グループの国土計画(当時)が福岡野球から球団を買い取り、西武ライオンズが誕生したのだ。本拠地は福岡から所沢に移転。西武鉄道グループが所有していた西武園球場を大改築して西武ライオンズ球場として生まれ変わった。なお、その後のグループ再編を経てライオンズの親会社は現在、西武鉄道である。

 西武参入から10年後、1988年のオフに南海が流通大手のダイエーに、阪急が当時はリース業を主業としていたオリエント・リース(現:オリックス)に相次いで球団を売却。福岡ダイエーホークス、オリックス・ブレーブスが生まれる。これはプロ野球と鉄道の蜜月時代の終焉(しゅうえん)を印象付ける出来事だった。

まさかの3度目の球界参入を果たした阪急

 ときは流れ、2004(平成16)年に近鉄が営業権をオリックスに譲渡して2球団が合併。こうして生まれたのが現在の「オリックス・バファローズ」だ。

 2000年代、鉄道事業者によるプロ野球参入は、二度とないと思われた。しかし、それは意外なかたちで実現する。

 2006年、阪急ホールディングス(当時)が阪神の株式を取得し完全子会社化にすることで、阪神タイガースは阪急の傘下に入ったのだ。これは事実上、最初にプロ野球ビジネスに取り組んだ鉄道事業者・阪急による3度目の球界参入だった。

※上記の他に、1950年〜1952年に「関西ファームリーグ」にて活動していた「山陽電気鉄道」傘下の「山陽クラウンズ」が存在します。また、「広島電鉄」は、1955年〜1967年に「広島カープ(当時)」の共同出資企業のひとつでした。