意外と知らない「ハイエース」の歴史! サーファーが愛し、窃盗団が狙う 堅実車両の変わらぬ魅力とは
「職人の車」として知られるトヨタ「ハイエース」。知っていそうで意外と知らないその歴史に迫る。
日産の巻き返しも

そんなハイエースの需要は、2000年代に入るとさらに熱くなった。不況の時代を背景に、日本では車中泊が流行したからだ。当初は荷台に布団を敷いて寝る程度だったが、次第に車内でどう快適に過ごすかが追求されるようになった。
そこで、国産のワンボックスカーを改造した「バンコンバージョン(バンコン)」のキャンピングカーは、本格的なキャンピングカーに比べて安価で人気を集めた。さまざまな車種が乱立するなか、ハイエースは安価であることに加えて、
「中古で売る時も比較的高価格」
になることもあり、このようなスタイルのキャンピングカーの主流となった。もともと、ガテン系の車としての耐久性、人や荷物を大量に運べる利便性が知れわたっていたこともヒットの後押しとなった。実際、この車種(小型キャブオーバーバン)のライバルである日産「キャラバン」は車種のシェア2割程度だった。残りの8割はハイエースと圧倒的だったのだ。
しかし、日産の巻き返しも始まっている。同社はキャラバンのシェアを3割に伸ばすことを目標としており、燃費性能アップやカスタムの強化による需要掘り起こしを始めている。それでもハイエースのブランド力は強く、キャラバンの魅力は
「盗まれないこと」
と皮肉交じりにいわれることもあるという(『日刊自動車新聞』2022年3月12日付)。
いずれせよ、個人需要をめぐる競争が激化したことで、ハイエースもますます進化を遂げることになりそうだ。