山陰新幹線は本当にメリットあるのか? 超推進派「石破茂」の発言に見る矛盾点とローカル線の行方

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山陰新幹線の建設を推進する石破茂衆議院議員。氏の過去の発言から、その実現性について疑問を提示する。

矛盾する石破氏の発言

自民党の石破茂元幹事長(画像:NOBORDER)
自民党の石破茂元幹事長(画像:NOBORDER)

 例えば、石破氏は税金を投入しろといいながら、全く逆の話をする。

「そもそもお客様を増やす努力をせずに、補助金に頼る経営姿勢そのものも問題です。北海道帯広市を拠点とする「十勝バス」の事例はすべての公共交通機関に適用されるべきものなのに、これが普遍化しないのは、どこかに補助金頼みの無責任体質があるからではないでしょうか」(石破茂オフィシャルブログ、2022年9月22日)

などが最たる例だろう。

 無責任に税金頼みの新幹線話をしたかと思えば、補助金頼みを叱ってみせる。列車が不便だから、地域住民がバスを利用する地方の現状には一切触れず、

「鉄道の維持費を低減させる工夫」
「集客のネタは日本中にある」

などとして、鉄道存続を訴えているのだ。新幹線に至っては、「単線での実現ができないかな」という。

 つまり、石破氏の論法は

・鉄道は税金で存続する
・新幹線は税金でつくる

という論を押し通すために、「営業を頑張る」「従来の建設費・維持費より下げる」という煙幕を張っているものにすぎないのだ。

 たしかに、営業を頑張る、従来よりコストがかからない仕組みで何とかなる路線も全国を見渡せばいくつかはあるのだろうが、JR北海道社長が輸送密度(1kmあたりの1日平均旅客輸送人員)2000人未満の鉄道路線について、鉄道廃止・バス転換以外の解決策を見いだしていないように、無理なものは無理なのだ。

 2022年3月25日に、野村総合研究所が公開した「ローカル線沿線住民約1万人を対象とした地域公共交通に関するアンケート調査」では、75%が最寄りのローカル線を「ほぼ利用しない」と回答する一方で、52%の回答者が、ローカル線は「地域住民の心の支えになっている」と回答した。

 この調査結果を見れば明らかだが、地方の首長も、国の税金で新幹線がつくられ、ローカル線が維持されるなら賛成するだろうが、もし、自分たちの予算でやるかの判断を求められれば絶対にやらない。赤字ローカル線の維持で住民の暮らしが便利になることなどほぼないということだ。

 幸いにして、石破氏は自民党内で何の影響力もない地位にある。そんな石破氏が山陰新幹線整備の陣頭指揮をとる限り、予算も人も自然と遠のいていくことだろう。

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