山陰新幹線は本当にメリットあるのか? 超推進派「石破茂」の発言に見る矛盾点とローカル線の行方

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山陰新幹線の建設を推進する石破茂衆議院議員。氏の過去の発言から、その実現性について疑問を提示する。

山陰新幹線を巡る石破氏の発言

赤色部分が山陰新幹線のルート(画像:鳥取市)
赤色部分が山陰新幹線のルート(画像:鳥取市)

 次の中核的主張は、石破氏の地元である鳥取県(人口全国47位)から、島根県(人口46位)へと山陰新幹線を通せというのものだ。

 山陰新幹線とは、大阪市を起点に鳥取、松江の両市を経由して山口県下関市に至る約550kmの鉄道新線だ。京都を過ぎたあたりから、人口密度が低い地域を走り続けることになる。新大阪~鳥取間を1時間20分で行けるようになるようだが、現状でも、大阪からから鳥取までは2時間30分だ。人の少ない地域への移動時間1時間の短縮をするために、6900~9000億円の建設費をかける理由があるのだろうか。

 石破氏は「山陰新幹線を実現する国会議員の会」の会長でもあり、その発言によれば、

「(新幹線建設については各地で期待があるようです、という東洋経済編集部の問いに対し)私たちは山陰新幹線の立場。山陰の日本海側って、新幹線もつながっていないし、高速道路もつながっていない」
「私の鳥取1区から竹下(亘)さんの島根2区に行くのは、隣の県なのに、どう考えても1回羽田空港に出たほうが早い」
「鉄道の特性である定時性、環境に対する負荷の少なさ、大量輸送能力というのは、日本人があまねく享受すべきものだ。一生懸命に努力して頑張ろうと思っても、交通インフラがあまりに脆弱(ぜいじゃく)だと、力を最大限引き出せない」(ともに週刊東洋経済臨時増刊2018年2月5日付け)

という。

 鳥取から島根へ新幹線も高速道路もつながっていないのは、「必要がないから」なのであり、政治家でもない限り、鳥取から島根へ急いで行く需要など存在しない。新幹線も高速道路も地域は日本全国にある。なぜ、山陰だけを特別扱いしなくてはならないのか。インフラ整備が脆弱なのは、そもそも人口が少なすぎるからだとなぜ思わないのか不思議でならない。

 また、鉄道が大量輸送能力に優れているのは事実だが、山陰地方に大量輸送の需要などない。その場合、当然だがクルマのほうが効率がよくなり、環境負荷も軽くなる。誰も乗らない列車ほど、エネルギー効率の悪いものはないのだ。

 石破氏の発言を追っていくと、この人はディベートに強いのだろうという箇所をいくつか発見する。簡単にいえば、とてもずるいのだ。

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