JR四国の運賃値上げ、住民の反応なぜ鈍い? 「路線残したい。でも乗らないよ」がホンネなのか
なぜ、四国の人たちは赤字ローカル線に無関心なのだろうか。
メリット消え、かすむ関心
背景には車社会の進行がある。四国ではもともと車移動のほうが普通列車より早く目的地に着けたが、特急列車は速度の優位を保っていた。しかし、4県都を結ぶ高速道路が登場すると、特急列車も優位を失った。
運行本数は減る一方で、列車で移動するとなればダイヤに合わせて予定を立てなければならない。料金も高速料金のほうが特急列車の料金より安い。中心市街地の商業空洞化が進み、駅前に人が集まることも少なくなった。JR四国の発足から35年で住民の鉄道離れがじわりじわりと進んだわけだ。
JR四国は香川県で路線の複線化、香川・愛媛の両県で電化、山間部で急カーブの改良などを進めてスピードアップを図ってきた。さらに、駅にホテルや商業施設を集め、にぎわいの創出にも努めている。しかし、思うような効果は出ていない。メリットが何も見えなければ、住民が関心を持たなくなるのは当然だろう。
しかも、読売新聞やテレビ愛媛の報道によると、JR四国は2025年度までに路線の存廃を含めた協議を沿線地方自治体と始めたい意向だという。今後も急激な人口減少が続くことから、路線維持が困難と考えていると見られる。
もはや四国の赤字ローカル線は住民の積極的な協力なしに維持することは不可能かもしれない。JR四国は4県などと2010年から鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会を開いてきたが、そこから路線維持に向けた住民運動は生まれなかった。住民の無関心が続く限り、鉄路は消え去る運命を逃れられそうもない。