コロナ禍なのにむしろ増収! 元Jリーガー志望の社長が「駐車場予約アプリ」で大躍進を遂げたワケ

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モビリティ分野のスタートアップ企業にインタビューするシリーズ企画。第5回目は、駐車場予約アプリ「akippa」を運営しているakippa株式会社(大阪市浪速区)の代表取締役社長CEO・金谷元気氏。

ハレの日にもケの日にも駐車場は必要だ

 現在、akippaではさまざまな新しい取り組みを進めている。プロスポーツチームとの提携もそのひとつだ。

 金谷がサッカー選手を目指していたことも背景にあるだろう。最初に提携したのは、サッカーJリーグチームのセレッソ大阪。金谷があこがれていたチームだ。

 ひとつのチームと提携すると、他のチームも興味を持ち、さらに提携チームが増える。なかでもV・ファーレン長崎はすでにサポーター用の公式駐車場を備えていたが、さらにakippaも導入した。

 地方のサッカースタジアムは自動車でのアクセスが便利な場所が多いが、渋滞につながるという面がある。それをakippaの駐車場として貸し出し、交通分散することで渋滞を解消できるように過去には取り組んでいる。

 また、パークアンドライド方式で、サポーターに試合を見る前に商店街に立ち寄ってもらい、地域の活性化を図る取り組みにも着手した。

コロナ禍を超えて、akippaはどうなる?

 金谷にとって2020年に始まったコロナ禍を乗り越えて成長を続けられたことが、一番印象に残っているという。

 akippaはこれまでイベント時など非日常での駐車場需要が多数だった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツチームの無観客での試合開催や、アーティストによるライブが中止となり、非日常の駐車場利用がほとんど無くなってしまった。

 一方で、コロナ禍でも移動せざるを得ない人々がいる。人との接触を避けることができる車移動の増加に伴い、通勤・通学など日常生活での駐車場利用が大きく伸びた。オフィス街などの駐車場を中心に2021年までに駐車場をコロナ前の1.5倍に増やした。

「密を避けて移動したい人が、自動車の良さを見直して、akippaを利用してくれています。そこで2018年から提供していた『先行予約オプション』というオプションサービスを『akippaバリュープラス』にリニューアルしました。スポーツ観戦やコンサートなどのイベント利用に加えて、通勤などの日常利用でもよりお得に駐車場を活用できるようになりました」(広報担当・森村氏)

 コロナ禍においては、ワクチン接種会場近くの駐車場をピックアップすることで、接種会場にアクセスする利用者のサポートも行ってきた。また、分譲マンションの入居者と知人や家族だけが限定して利用できる駐車場サービス「akippa private」の提供も開始した。

 さらに、コロナ禍で来場者の減った関西の温泉施設の駐車場を借り受け、キッチンカーの出店も実施。これがとても好評を得た。温泉とお祭り感のある野外の店舗との相性がぴったりはまったといえるだろう。

 2022年の夏には、7月に国営ひたち海浜公園にて開催された音楽フェス「Lucky FM Green Festival’22」の公式駐車場にもなった。

 2022年からはイベントでの駐車場需要も戻ってきており、日常と非日常の両方でakippaはさらなる成長を遂げている。

 2020年の秋には前年同月の売り上げを上回る成長を見せた。通勤需要が引き続き堅調なこともあるが、営業の力が大きいと金谷は考えている。大変な時こそakippaの決断力の見せ場だ。代理店との関係もよく、コロナ禍でも成長を続ける原動力となっているといえる。

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