コロナ禍なのにむしろ増収! 元Jリーガー志望の社長が「駐車場予約アプリ」で大躍進を遂げたワケ
プレゼン大会での優勝、大いなる転機に
akippaに転機が訪れたのは2014年12月、「インフィニティ・ベンチャー・サミット(IVS)」(VCのインフィニティ・ベンチャー・パートナーズが主催する、インターネット・モバイル・ソフトウェア関連のカンファレンス)での優勝だ。akippaが世間に認められた瞬間だったと言ってもよいだろう。
社内にエンジニアがいなかった時期もある会社がITのピッチ大会で認められたことは、金谷自身も、そして社員たちの自信にもつながった。そして、これ以後akippaは目まぐるしく変わり始めた。
IVSで優勝したとなると、おのずと注目が集まる。「akippaって面白いんじゃないか」という声が広まり、大手IT企業から転職してきた社員も現れた。受賞が呼び水となり、どんどん優秀な人材が加わり、サービスも拡大していった。創業から2019年までの間に総額35億円の資金調達ができたことも、その証左といえるだろう。
そんななかで役員がふたり退任した。自分の持てる力と新しく入ってきた社員の力を比べ、自分たちは上に立つのではなくプレイヤーでいた方がよいと判断したからだ。このように、客観的に自分の力を判断し、動ける社員がいるのも同社の強さだ。
akippa需要が拡大し続ける理由とは何か
akippaは2022年現在も躍進中で、会員数、契約駐車場数とも増加を続けている。
契約駐車場の増加の要因のひとつに、自動車保険の代理店とのつながりがある。高齢者の免許返納などで、保険が解約されてしまう代理店の商材として、akippaを使ってもらう方法だ。
もし、自動車を処分して駐車場が使われなくなるのであれば、今度は保険ではなくakippaを介して契約者とつながってもらう。こうすることで「見守り」にもつながる。
会員増加の理由はシンプルで、事前予約をしやすいことに魅力を感じている人が多いようだ。また、1日に数回、搬入のための駐車場を確保したい企業との法人契約も結んでいるという。
また、思い切ったダイナミックプライシングにも取り組んでいる。需要が集中するときに料金を変動させたのは、ネット上で貸し出しているからこそできることだ。例えば周辺で野球の試合がある日は、値段を特別料金にして、オーナーに対して収益最大化を図りたいという狙いがある。
ダイナミックプライシングについては、さまざまなイベントをデータ化して料金を決めている。また、災害時には10円から駐車場を提供する取り組みを行った。「災害時ですから無料にしたかったのですが、システムの都合上10円となっている」とのこと。
ダイナミックプライシングもまた、「困りごと」の解決につなげていけるのがakippaらしい。