マツコはなぜ「田園都市線」を忌み嫌うのか? ツイッターでもトレンド入り、その背景を探る

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「私は田園都市線が嫌いです」というタレントのマツコ・デラックスさんの発言が注目を集め。SNS上を賑わせた。この発言に少なからぬ賛意が集まる背景について、同線の成り立ちから探ってみたい。

駅徒歩10分、坂の上の一戸建てのこれから

たまプラーザの桜並木と雑踏(画像:写真AC)
たまプラーザの桜並木と雑踏(画像:写真AC)

 田園都市線の走る横浜市は港町のイメージが強いが、実際には海とは無縁な山の多い地域に住宅地の広がる自治体である。1970年代以降には多くの山が崩され、谷が埋められ「○○台」「○○が丘」という名前のついた一戸建てが並ぶ住宅地が誕生した。

 この住宅地は、そのほとんどが駅から10分以上高低差の多い道を歩くか、バスを利用せざるを得ないもの。狭い道に沿って60~80坪程度の一戸建てが並んでいる。1990年代まで続いた、夢のマイホーム群である。

 というのも、マイホームに対するマンションの利便性が明らかになった昨今では、マイホーム住民の子ども世代は、利便性を重視して駅に近いマンションへと移動している。結果、駅から離れた住宅地では、空き家の増加や高齢化が深刻な問題となっている。

 そこでいま求められているのが、こうした「旧ニュータウン」問題の解消と利便性を重視した「新ニュータウン」の再開発である。

 今後、少子化とテレワークの普及により、田園都市線的な住宅地にマイナスのイメージを付与している大きな原因である混雑は、次第に解消されていくだろう。

 むしろ手を付ける必要があるのは、高齢化により移動が困難になる人々への対策だ。

 すでに導入例も見られるようになっているが、ラストワンマイルの移動を可能にする小型モビリティは、この地域の再開発に欠かせない。

 現状ではいささか不便な住宅地、その地の高齢化にどう対策が取られるかで、田園都市線のイメージはまた大きく変化していくはずだ。

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