マツコはなぜ「田園都市線」を忌み嫌うのか? ツイッターでもトレンド入り、その背景を探る

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「私は田園都市線が嫌いです」というタレントのマツコ・デラックスさんの発言が注目を集め。SNS上を賑わせた。この発言に少なからぬ賛意が集まる背景について、同線の成り立ちから探ってみたい。

もとは高級住宅地へアクセスする路線

横浜市青葉区の田園都市線たまプラーザ駅(画像:写真AC)
横浜市青葉区の田園都市線たまプラーザ駅(画像:写真AC)

 当初、マイホームを求める層を当て込んで開発が行われたのは、東京の中央線沿線エリアであった。バブル期には国分寺市あたりも高価格で、住宅地開発は日野市、八王子市などの遠隔地へと広がっていく。マイホームを手に入れるため、首都圏の人口は郊外へと移動していったのだ。

 この中央線沿線に次ぐ形で住宅地開発が本格化したのが、くだんの田園都市線沿線だった。

 1990年代に開発が加速するまで、田園都市線は「高級住宅地」へアクセスする路線としてのイメージが強かった。なぜなら、渋谷駅から先は半蔵門線へと続いており、そのため沿線住民には永田町などの官公庁や都心の大手企業に勤務している人が多かったからだ。

 そんなセレブな路線にもかかわらず、開発の余地を多く残していたことで、田園都市線エリアはバブルが崩壊した1990年代に入っても開発が進むことになった。

 田園都市線の由来である「田園都市構想」の話をすると「もともとは渋沢栄一が提唱した構想から」という語りをされがちだが、実際に開発が加速度的に進んだのは、ここ30年余りのことだ。

 その結果、高級住宅地寄りの路線かと思えば、人口が過剰に集中しており、コロナ禍以前は通勤ラッシュが激しく、高級住宅地というイメージとは必ずしも一致しない側面が目にとまる。それによって何かしら否定的な印象を持つ人もいるのかもしれない。

 そんな田園都市線だが、実は、本当の開発はまだ始まったばかりと言える。2020年代に入って、沿線の人口移動が見られるようになっているからだ。

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