世界で開発進む「空飛ぶクルマ」 結局、騒音問題は大丈夫なのか?

キーワード :
日本でも本格的に注目を浴び始めた「空飛ぶクルマ」。その未来とは。

技術面にソフト面が追いつくか

空の移動革命に向けたロードマップ(画像:国土交通省)
空の移動革命に向けたロードマップ(画像:国土交通省)

 世界各国のスタートアップや企業が、空飛ぶクルマの開発を猛スピードで進めており、2024~2025年あたりが技術面におけるひとつの節目のように思われる。

 空飛ぶクルマが商用飛行を開始するには、制度面のみならず、安全や騒音、環境など社会的な受容が前提となる。現在、空の移動革命に向けた官民協議会による「空の移動革命に向けたロードマップ」に基づき、ソフト面の整備が進められているものの、整理すべき課題は多い。

 例えば環境面では、eVTOLの騒音は60~70dBであり、ヘリコプターなど他の航空機と比較して静粛性に優れているといわれている。60~70dBに収まるのであれば、聴覚的な目安では普通もしくは少しうるさいレベルであるが、本当に日常的に生じる空飛ぶクルマの騒音に我慢できるのかという指摘もある。

 騒音問題のように、実際に空飛ぶクルマを街中で飛ばしてみないと分からない課題のみならず、飛ばしてみて初めて浮かび上がる問題もあるだろう。

 大阪府は、2025年大阪・関西万博において空飛ぶクルマの商用運行を目指し、「大阪版ロードマップ」を2022年3月に策定した。特に国における制度設計やルール作りに資するため、実務的協議や実証実験等を精力的に進めている。最終的に空飛ぶクルマの商用飛行が間に合うのか、万博では限定された区間でのデモンストレーションになるのか、あるいは機体の展示にとどまるのか、万博開催日の2025年4月13日まで、残された時間はわずか2年半だ。

 なお、トヨタ自動車が約4億ドル(約596億円)を出資する米Joby Aviationは10月18日、日本での運航に必要な「型式証明」を国土交通省に申請している。

全てのコメントを見る