子どもの「キックボード」は遊具で、車両にあらず? 広島市7歳児死亡事故で考える 法と一般認識の乖離とは
「交通のひんぱんな道路」を巡る解釈
ちなみに、キックボードは
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「三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」
という、道路交通法の第七十六条四の三にあてはまるとされている。
意見はさまざまだろうが、おそらく類推解釈として、この「ローラー・スケート」が人力のキックボードに当てはまるのだろう。また先の判例によれば「遊具」になり「車両」ではない、ということにもなるようだ。
ただ、この場合の遊具はあくまで「児童」を前提としたものとされ、大人が使う場合は先の判例も含め、
「道交法上の歩行者かどうか」
に関して、これがそのまま当てはまらないかもしれない。あくまで解釈の問題、刑事と民事の違いもある。特殊な事例とはいえ注意が必要だ。
それにしてもこの「交通のひんぱんな道路」はやっかいだ。司法による「法解釈の余地」を残すためであり、恣意(しい)的な罪刑専断主義を避ける目的もある。しかし「交通のひんぱんな道路」の個々人の印象はさまざまである。
先の判例では「キックボードは車両か、否か」が焦点となったが、7歳の児童ということもあり限りなく「歩行者」と同等とみなした。警察によってもまちまちで、例えば今回の事故の所轄である広島県警では「自転車交通ルールQ&A」の中で、
「交通ひんぱんな道路とは、どういうところですか?」
「交通の状態がどの程度になれば「交通ひんぱん」と言えるかは、道路の広狭、通行する歩行者や車両の量等との関係で違ってきます。例えば、昼間の広島駅前通りなど交通の往来が激しい道路は、一般的に交通ひんぱんと言えますが、深夜や早朝のように交通が閑散になると、交通ひんぱんな道路とは言えない場合もあります」
と回答している。
筆者も実際、担当警察に話を聞いたことがあるが、スケートボードを深夜の繁華街、公道上で使用する若者がいても、警察官がほぼスルーする件はこれも一因にある(条例は別)。繁華街の路上であっても、閑散としていれば「交通のひんぱんな道路」にはあたらないのだ。1959(昭和34)年と古いが、実際にその「ひんぱん」の数字を挙げた判例もある。またこれにより起訴された例もない。