子どもの「キックボード」は遊具で、車両にあらず? 広島市7歳児死亡事故で考える 法と一般認識の乖離とは

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先日、広島市でキックボードに乗っていた男児が亡くなった。インターネット上には被害者の非をあげつらう人がいるが、それは明らかな間違いであり、愚かな行為でもある。

広島市でおきた痛ましい事故

キックボード(画像:写真AC)
キックボード(画像:写真AC)

 キックボードに乗っていた被害者の男児(7歳)は悪くない。それでも残念ながら、ごく一部とはいえ「キックボード」という単語だけで被害者の非をあげつらう人がいる。

 加害者は赤信号で横断歩道を通過した63歳の男性ドライバーだった。ドライブレコーダーには赤信号で交差点に進入する光景が映し出されていたとのことで、男性ドライバーも信号の見落としを認めている。警察は過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕した。10月13日に広島市で起きたこの事故、キックボードの男児は亡くなった。まずはご冥福をお祈りする。

 事故は不幸な結果となってしまったが、この「キックボード」という一語は一部、特にインターネット上で独り歩きしている。本来、キックボードという名称はアメリカのK2社の製品を指すが、いわゆる賛否両論の「電動キックボード」を連想させるからだろうか、報道でも多用されたようだ。日本キックスケーター協会もあるように、筆者(日野百草、ノンフィクション作家)はこうした従来型の人力のものは「キックスケーター」と個人的に言葉を分けている。しかしここでは便宜上「キックボード」とする。

 法曹界、保険業界では人力のキックボードに関しての有名な民事裁判の判例(東京地裁)がある。

 2014年、同じく当時7歳の児童がキックボードで「歩行中」(判決に使われているこの言葉は後述)、自動車にはねられた事故である。裁判ではキックボード、特に子どもが使うものは「歩行者」と同等か、それに限りなく近い判断が下されている。

 加害者側はキックボードを「車両」であり、「自転車と同等」だとして過失割合を求めたが、裁判所は「歩行中」であり、児童のキックボードは「車両」とはみなさないとの判断を下した。

 結果として後遺障害1級、保険会社から総額4億円(自賠責4000万円含む)近くの賠償金が支払われた。当媒体でも以前、「自動車「任意保険」未加入はなんと10%! 自賠責の代わりに「義務化するべき」は暴論か、それとも真実か」(2022年6月26日配信)を書いたが、任意保険は本当に入っておくべきである。