キャッシュレス決済で「タクシー乗り逃げ」詐欺が多発? 巧妙手口を現役ドライバーが激白

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タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は、タクシー料金の支払にも広く利用されつつある「キャッシュレス決済」をめぐるトラブルについて。

QRコード決済のスクショ画面を見せて

街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)

 手口はいろいろで、筆者は2022年9月のある夜、多摩川近くの都内某所から千葉の木更津まで若い男を乗せた。言葉遣いから、アジア圏の外国人だろうか。首都高からアクアラインを使って料金が1万2000円と少し。

 目的地での支払いの際、男は「ネット決済で」と告げた。「〇〇Pay」と呼ばれるQRコード決済サービスのことだ。そして、後部座席に設置されたタブレット(端末)にスマートフォンをかざした……ように見えた。

 後で分かったのだが、スマホを単にかざす振りをしただけで、その後「これ、払っているから」と見せたQRコード決済サービスの画面は、以前の決済のスクリーンショット画像か何かを見せていたのだ。

 筆者も「あれ?」とは思いつつ、初めてで何が何だか意味が分からなかった。

 正しく決済されたのなら「ネット決済できるお客さまです」の画像表示と、「決済が完了しました」の女性のメッセージ音声が車内に流れてくる。だがそれもない。やはり新手の手口による乗り逃げなのであった。

 男はそのまま自分でドアを開けて、何食わぬ様子で降りて行った。

 すぐ警察に連絡して捜査してもらった。常習犯らしく、車載カメラで男の身元は分かったが、すでに国外へ逃亡していて捕まえようがないとのことだった。

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