昭和に一世風靡 簡単便利な「磁気式プリペイドカード」があっさり衰退したワケ

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1982年、初のテレホンカードが発売された。その後隆盛を極めたが、いまや過去の遺産だ。いったいなぜなのか。

交通系磁気式プリペイドカード登場

電話ボックス(画像:写真AC)
電話ボックス(画像:写真AC)

 テレホンカードは多くの事業者から注目を集め、ついに交通系磁気式プリペイドカードが登場する。

 その第1号は埼玉新都市交通で、1983年12月22日の開業時にフレッシュカードの販売を開始。テレホンカードにほぼ倣い、1000円券、3000円券、5000円券の3種類を用意した。券売機に投入後、乗車券を購入するもので、不足分は現金をプラスすればよい。

 これに追随したのが国鉄(現・JRグループ)で、1985年3月25日からオレンジカードの販売を開始。使い方は埼玉新都市交通と同様で、1000円券、3000円券、5000円券、1万円券の4種類を用意した。

 まずは首都圏の主要駅で発売され、のちに国鉄路線がない沖縄県を除く全国に広がってゆく。また、先述のテレホンカードに付加価値をつけたことも刺激を受け、のちの販売分から5000円券は5300円、1万円券は1万700円まで使えるようにした。

 ただ、オレンジカードが使えるのは近距離乗車券用(乗車駅から100kmまでの区間)の券売機のみ。新幹線用の券売機では使えない難点があり、1987年4月1日の国鉄分割民営化後も改善されなかった。

 オレンジカード以降、各地の鉄道事業者にも導入されたほか、路線バス用のカード、日本道路公団(現・NEXCOグループ)のハイウェイカード、郵便局のふみカード、コンビニエンスストアのQUOカードなど、磁気式プリペイドカードはあらゆる業界に進出。“キャッシュレス社会”は大人だけではなく、小学生にまで波及してゆく。

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