人口減少時代の交通再編 香川県「ことでん」が切り開いた、ローカル線生き残り戦術をご存じか
公共交通網の再構築を進めることでん

高校生の通学や高齢者の通院といった需要なら、バスで代替できるとの意見もあるだろう。しかし、鉄道に比べるとバスは定時性が不安定のため、やはり移動手段として鉄道が必要という意見になりやすい。
では、鉄道事業者と利用者の相反する思惑を埋めるにはどうしたらいいのか。長らく、議論されてきたテーマだが、最終的に
「人口を増やすしかない」
という身もふたもない答えが導き出されるだけで、政府・地方自治体・鉄道事業者は利用者を増やす取り組みを打ち出せていない。
ローカル線に打開策が見いだせないなか、香川県高松市を地盤にする高松琴平電気鉄道(ことでん)が持続可能な公共交通網の再構築を進めている。
ことでんは香川県の県都・高松市を中心に丸亀市やさぬき市などに鉄道・バスのネットワークを構築。ことでんのほかにも、JR四国が香川県内に
・予讃線
・土讃線
・高徳線
・本四備讃(びさん)線
などを運行している。
香川県は人口が約93万人と決して多くないが、その面積は47都道府県でもっとも小さい。逆説的に考えれば、鉄道ネットワークの密度が高いということになる。
鉄道・バスの結節点である駅誕生

そうした環境もあり、高松市はこれまで鉄道ネットワークの維持に努めてきた。一例が、路線バスを効率よく運行するために鉄道とバスの結節点を整備することだった。その第1弾として具現化したのが、2020年に新規開業した伏石駅だ。
伏石駅は、ことでん琴平線の三条駅と太田駅間に開設。伏石駅は国道11号線などの市内幹線道路と接続しているため、駅前にはバスターミナルが併設された。
伏石駅が開設されるまで、高松市の中心部と郊外、もしくは市外からアクセスするにはバスを利用するしかなかった。市の中心部から郊外へと向かう路線バスは、市中心部の利用者が多いのは言うまでもない。
その一方で、郊外部まで乗り通す利用者は少ない。中心部と郊外を1本で結ぶ路線は、乗り換えなしで目的地まで移動できるので、便利な移動手段だ。一方、経営的な観点で見れば非効率的な路線と言える。また、市の中心部へと乗り入れるバスは、鉄道路線と競合することになる。結果として、需要を奪い合っていたことになるのだ。