函館本線「山線」廃止 今後のベスト対策は「上下分離」導入と、JR北海道・貨物「第2種」体制の構築だ

キーワード :
, , ,
函館本線の函館~小樽間は、北海道新幹線新函館北斗~札幌間の並行在来線となり、経営分離が決まっている。今後いったいどうなるのか。

函館~長万部間の現状

函館バス310系統は函館バスターミナル~長万部ターミナル間を函館駅前、五稜郭駅前、七飯、森駅前、長万部駅前経由で結んでおり、4往復運転。全区間の運賃は大人1900円。仮に函館本線新函館北斗~長万部間のバス転換が決まれば、増発も考えられる(画像:岸田法眼)
函館バス310系統は函館バスターミナル~長万部ターミナル間を函館駅前、五稜郭駅前、七飯、森駅前、長万部駅前経由で結んでおり、4往復運転。全区間の運賃は大人1900円。仮に函館本線新函館北斗~長万部間のバス転換が決まれば、増発も考えられる(画像:岸田法眼)

 今後の焦点となるのは、函館~長万部間だ。函館~七飯間、森~長万部間は列車のすれ違いが容易にできる複線に対し、七飯~森間は3ルートともすべて単線で、途中駅で列車の行き違い停車を余儀なくされる場合がある。

 このうち、函館~新函館北斗間は第三セクター鉄道として継承する見込みだ。同区間は交流電化されていること、新函館北斗は北海道新幹線の乗換駅であり、函館はビジネスや観光など、需要が高いことはいうまでもない。

 しかし、それ以外の区間については不透明ながら、朝日新聞は2022年8月20日の朝刊で、藤城線を継承しない見通しであることを報じた。

 藤城線は七飯~大沼間の勾配緩和(藤城線10‰、本線部20‰)を目的に建設され、下り線専用にすることで実質複線の役割を担う。下り列車が藤城線、上り列車が本線部を走行することで、途中駅で行き違いによるタイムロスを防げる。

 例えば、函館12時35分発の下りの普通列車長万部行きワンマン運転は、12時56分に七飯を発車すると、藤城線を経由する。その頃、本線部では上りの臨時特急「ニセコ号」函館行きが走行しており、“間接的”にすれ違うことで円滑なダイヤが組める。

 かつて、藤城線は優等列車(特急、急行など)や貨物列車の街道だった。しかし、北海道新幹線新青森~新函館北斗間が開業した2016年3月26日のダイヤ改正で、特急の新函館北斗停車に伴い、藤城線を通る列車の運転本数が激減した。これを鑑みると、北海道新幹線が延伸開業後、沿線自治体が継承しないと判断するのは致し方ないのだろうか。

 砂原線は本線部に比べ、勾配は2~6‰(本線部は10~20‰)と平らなうえ、駅の数が多いこともあり、函館~森間の普通列車の多くが経由する。かつては臨時寝台特急「トワイライトエクスプレス」大阪行きがここを通り、下り列車との行き違い停車を回避していた。大沼~森間の距離は本線部22.5kmに対し、砂原線は35.3kmながら、実質複線機能を持つ。

 一方、本線部大沼~森間のうち、大沼公園は観光の玄関口となっており、特急「北斗」の大半が停車する。

 森~長万部間は普通列車がわずか6往復。森・八雲~長万部間を中心にわずかながら、通学の高校生の利用が見られる。しかし、たった1両でも座席がすべて埋まり、立客が出るほどでもない。とはいえ、遠距離通学である以上、バス転換されたら時間が大幅にかかってしまう。

 北海道や沿線自治体は新函館北斗~長万部間の普通列車の運転本数が少ないこと、乗車率がそれほど高くないことを鑑みたのか、同区間も廃止の意向を示しており、今後の協議が注目される。

全てのコメントを見る