鉄道の電化方式 陸続きのヨーロッパにたった「4種類」しかないワケ
日本では、在来線の直流1.5kVと交流の20kV、新幹線の交流25kVがある電化方式。陸続きのヨーロッパはどのような運用となっているのか。
車体外側にはみ出したパンタグラフ

電化する場合、架線を設けるためには橋やトンネルなどを改修しなければならないが、その数は非常に多く、莫大なコストが掛かることから、第三軌条方式を採用するに至った。
第三軌条方式は、とりわけ雨の日には保線作業員を危険にさらすだけでなく、集電方式の特徴から低温に弱く、線路に雪や氷が付着するとうまく集電ができず、冬季に寒波が襲うと頻繁に運休することがある。
どうしても交流と直流のふたつの電化方式を同じ線路に乗り入れさせたいがために、直流の架線を1.3mオフセットさせて、車体からはみ出させたのが、スイスの私鉄ジールタール・チューリッヒ・ユートリベルク鉄道(SZU)だ。
一目見ただけで、何かが狂ってしまったのかと思わずにはいられない、車体外側にはみ出したパンタグラフは驚きだが、さすがにこの特殊な構造は維持費も掛かると判断され、2022年7月から運休し、交流電化へ変換して統一されてしまったのは残念でならない。