「レストラン列車」はなぜ近年増加しているのか? 23日「ふたつ星4047」運行開始で改めて考える

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乗車中に提供される食事を楽しむレストラン列車が近年増加している。その背景には何があるのか。

大きな契機となった「ななつ星 in九州」

TWILIGHT EXPRESS瑞風(画像:JR西日本)
TWILIGHT EXPRESS瑞風(画像:JR西日本)

 さらに大きな契機となったのは、2013年のJR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in九州」の登場だ。クルーズトレインは、ラグジュアリーな旅を楽しむ豪華観光寝台列車のことを指す和製英語で、豪華な内装の列車で大型観光地を巡る。

 海外ではオリエント急行などがそれに当たるだろうが、国内ではななつ星が初の取り組みだった。1泊2日コースで15~22万円、3泊4日コースで38~55万円といった高額な料金にも関わらず、チケットはすぐに完売した。

 その後も、2017年にはJR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」、JR西日本の「TWILIGHT EXPRESS瑞風(みずかぜ)」など、贅(ぜい)をつくしたクルーズトレインが登場している。このクルーズトレインの大きな目玉と言えるのが、沿線の食材を利用した豪華な食事だ。その人気によって、列車で提供される食事には強い訴求効果があることが改めて認識された。

 レストラン列車の料金はおおむね1~2万円程度(乗車券・食事付)で、高級レストランで食事する程度の料金と言える。決して安くはないが、少し奮発すれば手が届く金額と言えるだろう。メニューは月やシーズンで変更されることから、気に入れば何回も利用したくなる。また、所要時間も数時間程度なので比較的気軽に利用できると言える。例えば首都圏から周辺の観光地へむかう路線でも実施が可能なことから、さまざまな路線での展開が見られるようになっていった。

全国を走るさまざまなレストラン列車

フルーティアふくしま(画像:JR東日本)
フルーティアふくしま(画像:JR東日本)

 現在、運行しているレストラン列車をいくつかあげると、JR東日本「TOHKU EDITION」(八戸線、八戸~久慈)は「移動するレストラン」としてライブキッチン車両を連結、食事はコンパートメント個室とオープンダイニングとなる。地元の有名店やホテルのシェフが料理を監修したイタリアンやフレンチコース、デザートコースを用意。9月までは岩手県ブランド鶏のあべどりを使用したロトロなどのイタリアンコースを提供する。

 同じくJR東日本の「フルーティアふくしま」(磐梯西線、郡山~喜多方)はカウンター車両とボックスシートの2車両からなり、福島県産の旬のフルーツを使ったオリジナルスイーツ、フルーツジュース、ソフトドリンクを提供する。1号、2号と便でメニューが異なり、9月のメニューは、1号で福島県産黄金桃を使用したタルトとフルーツプリン、2号で会津産ブルーベリーなどを使用した和スイーツからなるお重が用意された。

 JR西日本の「ベル・モンターニュ・メール」(城端線・氷見線、土曜日:高岡~城端、日曜日:砺波~氷見)はボックス席、ロングシート(カウンター席)の1車両。車内ですし職人が握る「ぷち富山湾鮨セット」や「プチ富山湾丼セット」、「ほろ酔いセット」(4種類のおつまみと地酒)、「飲み比べセット」(沿線の地酒3種)などが提供される。

 肥薩おれんじ鉄道の「観光列車おれんじ食堂」(川内~新八代)はテーブル席・海側のカウンターからなる1号車と、半個室の2号車からなる。1号車には運転席の横に子ども展望席も設置。時間帯によってモーニングメニュー、スペシャルランチ、サンセットがあり、9月のスペシャルランチは「シェ カシワギ」のフレンチコース、冬ダイヤのサンセットは「S CUBE HOTEL by SHIROYAMA」の古典的なフレンチコースとなっている(メニューは変更される場合もあるので、申し込みに際しては公式ウェブサイトなどで要確認)。

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