ローカル線衰退の日本とは大違い 知られざる鉄道大国「スペイン」の実力、高速鉄道の総延長距離はなんと世界第2位だった!
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日本の先を行くスペインの鉄道
ヨーロッパで鉄道先進国といえば、すぐに思い浮かぶのはドイツとフランスだろう。ドイツはICE、フランスもTGVと呼ばれる高速鉄道を運行。これらの高速鉄道は、日本の新幹線が成功したことを受けて整備された。そうした経緯からドイツ版の新幹線、フランス版の新幹線とも呼ばれる。ちなみに、鉄道発祥の地・イギリスは在来線の高速化に力を入れていたこともあって、新幹線のような高速鉄道の実現は遅れている。
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先述したスペインは、2021年12月時点で高速鉄道網の国内総延長距離は約3662kmにも及んでいる。これは、中国に次ぐ世界第2位でもある。中国の人口が約14億1000万人で、国土面積は約959万7000平方キロメートル。対してスペインの人口は約4700万人で、国土面積が約50万6000平方メートル。これらを考慮すると、いかにスペインが高速鉄道網の整備に力を入れてきたことがわかるだろう。
スペインが力を入れているのは高速鉄道網の拡充だけではない。車両の技術開発にも傾注しており、すでにフリーゲージトレインも実用化している。フリーゲージトレインとは、軌間が異なる路線を走ることができる列車を指す。日本では新幹線が1435mm、在来線が1067mmと軌間が異なる。そうした軌間の違いから、両者は線路を直通できない。当然ながら、線路を共用できない。
9月23日に開業する西九州新幹線は、佐賀県がフリーゲージトレインの導入を求めていた。これは、佐賀県が新幹線による恩恵が少なく、新幹線開業によって在来線が第三セクターに転換されることや特急が大幅に減便することが念頭にあった。
2016年には国土交通省、JR九州、佐賀県、長崎県、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、与党検討委員会の6者が、フリーゲージトレインの開発と導入を前提にして武雄温泉駅で在来線の特急列車と新幹線とを乗り継ぐリレー方式で開業することに合意。しかし、開発の遅れや採算性を理由に2018年には与党検討委員会が早くもフリーゲージトレインの導入を断念するとの方針を表明した。わずか2年で約束をほごにされた佐賀県が、西九州新幹線に不信感を抱くのはこうした背景がある。
スペインと日本では取り巻く環境は異なるので一概にはいえないにしても、スペインはフリーゲージトレインを1968年から運行している。日本で技術面・採算性で困難とされたフリーゲージトレインをスペインはすでにクリアしているので、車両開発の技術力は日本と比べても遜色がない。それどころか、日本より先を行っていると思われる部分も多い。
スペインは、その後もフリーゲージトレインの研究開発を続けており、現在は時速300km超で走行可能なフリーゲージトレインがお目見えした。