「給料安いし、人手も足りなさ過ぎ」 崖っぷち運送業界を包囲する「七つの困難」とその解決策
人手不足からDXまで多くの課題を抱えている運送業界。その解決に向けて、現在注目されているのがM&Aだ。いったいなぜ注目されているのか。
なぜ人手不足なのか

四つ目の課題は「利益率の圧迫により賃金を上げにくい」だ。運送業界で多数を占める中小企業は、受注量が大手企業に比べて絶対的に少ない傾向がある。また、大手企業の傘下である下請けでは、
「1次下請け → 2次下請け → 3次下請け」
と、下請けになるほど厳しい取引条件を余儀なくされている。
さらに、
・新規参入企業の増加による競争の激化
・人件費の増加
・燃料費の大幅な変動
など、経営の不安定さや悪化を招く要因が多く、収益の低下が顕著だ。
規模が小さい企業ほど経営状態が悪いため、給料が安く、雇用条件も悪くなっている。厳しい経営状況を強いられる中小企業や下請けは、給料を上げることができず、人材の確保もままならない状況なのだ。
続いて「他業種と比べ平均賃金の水準が低い」だが、厚生労働省の統計によると、運送業の賃金水準は、表の通り、全産業平均に比べて低い水準で推移している。大型トラックよりも中小型トラックの低賃金が顕著となっている。
また、ドライバー等の就業者数は近年伸び悩んでおり、若干減少傾向にある。運送業で重要な役割を担うドライバーは、賃金水準が低いうえにサービス残業や休日出勤などにより労働時間が長く、長時間運転に耐える体力も要求される職種だ。
賃金水準と過酷な労働環境が、若年層をはじめとして、ドライバーという職種を希望しない大きな要因となっている。