わずか数年で会社員に出戻り! 独立「軽貨物ドライバー」に立ちはだかる資金繰りの壁
ドライバー不足対策として期待される軽貨物(個人事業主)ドライバーだが、その育成と保護に対し、適切な対応が国に求められている。
ドライバーを悩ます当座の「資金繰り」

「宅配ドライバーとして働く」ということが、より自分らしい働き方の選択肢として注目を集めつつある中で、課題となるのが「お金の問題」である。
軽貨物自動車配送の場合、支払いサイトは60日であることが多いそうだ。独立起業したものの、当座の軽貨物自動車のリース費用、燃料代、メンテナンスコストの支払いに困り、ファクタリングを利用する人が増えていると言うのだ。
夢と希望を描いて独立起業したものの、資金繰りや、(Amazon労組問題のような)労働に見合った報酬が得られないといったお金の問題に直面し、数年でサラリーマンに戻る人は少なくない。
もし国が本気で個人事業主ドライバーを保護し、育成するつもりがあるのであれば、この「お金の問題」に対し、真剣に対策せねばならない。
ひとつは、個人事業主向け融資制度の充実、健全なファクタリングマーケットの育成、個人事業主に対する支払いサイトの短縮促進など、資金繰りの不安に対する解決策を増やすこと。
もうひとつは、軽貨物ドライバーの育成と保護を考え、労働者性(業務委託元と、業務委託先の間に指示命令系統が存在し、実質的な雇用関係がある場合には、労働者性があると判断される)について、現状に即した適正な法改正(ガイドラインの策定を含む)を行うことだ。
特に後者は、経験の浅い個人事業主ドライバーがきちんと配達し、数もこなせるような、適切な配車指示などの指示命令に関しては、配送元(荷主)の権限拡大を認める一方で、過重労働や報酬の実質的な低下に結びつくような不適切な指示命令に対する監視強化に務めなければならない。