わずか数年で会社員に出戻り! 独立「軽貨物ドライバー」に立ちはだかる資金繰りの壁

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ドライバー不足対策として期待される軽貨物(個人事業主)ドライバーだが、その育成と保護に対し、適切な対応が国に求められている。

Amazon「配達ルートアプリ」の落とし穴

 個人事業主ドライバー、特に独立起業して間もない人に、宅配に関する十分なスキルがあるかどうかなど、Amazonに限らず荷主側に分かるわけがない。分かるわけはないが、十分なスキルがないドライバーの存在を前提に、顧客から求められる配送件数や品質を保つ仕組みを考えるのが、経営である。

 前回記事で取り上げた、Amazonが個人事業主ドライバーに利用させている「配達ルートを指定するアプリ」(以下、配達アプリ)は、Amazon側が望む配送件数・品質を保つべく、生み出されたものであろう。

 ノルマとして課された配達荷物の一覧に加え、その配達を行うための最適な配送ルートなどが指示され、かつカーナビとして活用できるものだと想像できる。現在、運送会社などで広く使われている配車計画システムや、トラック用カーナビシステムの延長線上にあるシステムなのだと思う。

 前稿で紹介した、個人事業主ドライバーがAmazon配達アプリに過重労働を強いられているケースは、配達アプリのチューニングに不備があったものと思いたい。

 先行報道では、ノルマとして1日200個の宅配を課されたとある。

 もしかすると、配達アプリに指示を送る配車計画AI上では8時間で配達できると算出されたのだが、AIの能力不足、あるいは演算間違いにより、実際には12時間掛かってしまっている、ということではないだろうか(そもそも1日200個の宅配がどれほど大変か、現場を仕切る配車担当者は分かっているべきだと思うけれども)。

 一方で、もしAmazon側が、「このボリュームの宅配ノルマを課したら、早くても12時間掛かる」といった過重労働を認識しつつ、配達アプリを運用していたとしたら、これは大問題であり、即座に行政から指導すべき事案である。

 どちらにせよ、いわゆる運送指示というのは、本来、労使双方を守るために必要とされるものだ。

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