熱海「V字回復」に貢献! 185系「踊り子号」の淡き記憶と今後の未来
近年、観光客増加で「V字回復」を遂げた静岡県熱海市。その背景にはJR東日本の施策と輸送を支えた特急・踊り子号の存在があった。
「特急・踊り子号」を象徴する185系
185系はJR東日本で首都圏最後の国鉄時代に製造された車両だ。特急でありながら、通勤通学列車としても対応できるように作られている。そのため、引退間際は湘南ライナーといった通勤通学列車と併用して使われていた。
ちなみに、鉄道ファンに惜しまれながら廃止された臨時夜行快速列車・ムーンライトながらも185系で、東京から岐阜県の大垣駅までを走行していた。乗車券(青春18切符を使うのが主流)と530円の指定席券を買うだけ乗れるため、非常に人気な列車であった。
しかし、老朽化した185系の乗り心地は悪く、熱海や伊豆半島までの旅行をより快適な旅にするという目的のため、2021年3月に定期運行を終えた。40年間走り続けた185系は、ピーク時から衰退まで、そしてV字回復からコロナ禍までと、熱海・観光の全容を見てきた歴史ある列車と言えるだろう。
上質で優雅な旅を演出する新型車両
特急・踊り子号は、185系からE257系に置き換えられ運行を続けている。加えて、JR東日本は熱海や伊豆半島の旅を上質で優雅な旅とするために、E261系、通称・サフィール踊り子の運行を2020年にスタートした。
特徴として、全車グリーン車の車両となっており、中でも1号車はプレミアムグリーン車となっている。4号車にはカフェテリアも。サフィール踊り子では、特急・踊り子号での旅行よりも一段階上の優雅な旅を楽しめる。
サフィール踊り子は、観光流動の創造と地域の活性化を目的として作られ、熱海・観光のV字回復にさらに拍車をかけるために導入されたと言っても過言ではない。
過去に捉われず変革を進めてきた観光地・熱海。コロナ禍を乗り越え、再び踊り子号とともに輝きを取り戻すことだろう。