「好きで路駐してるわけじゃない」 荷待ちトラックを襲う住民クレームの嵐、敵は荷主か? 運送会社か? それとも国か?

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トラック運転手の荷待ち路駐が社会問題となっている。その背景には物流クライシスを映し出す厳しい現実があった。

警察に通報されることも

路駐トラックのイメージ(画像:写真AC)
路駐トラックのイメージ(画像:写真AC)

「工場や倉庫によっては敷地内で待てないとか、敷地内に入る数を制限されたりします。その場合、周辺の道路で待つしかないんですよ」

 路肩に停車していたトラック運転手に話を聞く。場所は差し控えるが、広い片側2車線の道路にトラックが数台並んで止まっている。9月とはいえまだ暑い。断続的な雨で湿度も高い。

「仕方なく止めてますが、やはり苦情が来ることはあります」

 すでに1時間の待機、この程度の荷待ちはそれほど珍しくないという。

 ちなみに本稿、話者の言い回しや専門用語を含め、文章に起こす上で平易に改めている。また大前提として物流業界における労働問題、賃金問題が根底にあるのは当然だが、あくまで今回の主題は荷待ちの問題、待機場所がないために駐車違反をせざるを得ない問題にあることはご留意願いたい。

 ところで、警察に通報されることはあるか。

「もちろんありますよ。警察もわかっているのか、そんなに厳しく言われたりはしませんが。それでも戻ってここにいるしかありません。私たちドライバーにはどうすることもできないのです」

 こうした工場や倉庫の出入荷を外で待機する、いわゆる「荷待ち行為」に対する世間の風当たりは強い。実際、8月8日には大阪府八尾市で工場の荷待ちをしていたトラックが一斉に警告、または摘発された。地域住民からの苦情だが、八尾は工場が多く狭い道も多い。

「なるべく目立たない場所とか、車の少ない場所に止めますが、そういう場所は他のトラックも止めますから、結局たくさんのトラックが並んでしまい、目につくことになりますね」

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