なぜEVは中国で爆発的に普及したのか? その背景にあったのは「路線バスの電動化」だった

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世界のEV市場をけん引する中国。その背景には、同国内における「大型路線バスの電動化」があった。

大気汚染の深刻化とその対策

EVのイメージ(画像:pixabay)
EVのイメージ(画像:pixabay)

 新型コロナの世界的大流行や半導体不足にも関わらず、2021年は電気自動車(EV)の年間販売台数が675万台に達し、前年比で2倍を超えた。

 そのなかでも、中国は340万台と世界の半分を占め、2020年にトップを一度譲った欧州マーケットを大きく上回り、中国市場が世界をけん引する形となった。

 実のところ、中国のEV普及は

「大型路線バスの電動化」

から始まっている。そこから、リチウムイオン電池の量産技術やコストダウン技術が培われてきたのだが、これはあまり知られていない。

 さて、中国は急速な経済拡大にともない、1980年代から、特に都市部での大気汚染問題が深刻化したが、中国政府は経済発展を優先したため対応は遅れ、中央が規制を作っても地方が適用しない状況が続いた。

 しかし、年々悪化する大気汚染で健康被害が顕著化し、ようやく中国政府と地方政府も2000年代から対策に本格的に乗り出した。

 中国での大気汚染の原因は、主に次の三つに絞られる。

1.中・小型の石炭火力発電所の大型石炭火力発電所への統合
2.家庭用の煉炭(れんたん)を使った家の暖房
3.ディーゼル自動車の排ガス問題

「1」については、大型石炭火力発電所は、超々臨界で排ガス対策の優れている機器を導入して対策を強化している。効率では日本製の石炭火力発電所を上回っている。

「2」は、都市部で段階的に使用を禁止し、現在はほぼ全面禁止となっている。

「3」については、これに対して「排ガス浄化装置の設置義務」「ディーゼルオイルの硫黄分の除去」といった対策を検討した。その結果、中国政府の取った措置の最大の目玉は路線バスの電動化だった。

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