広がるLNG船 川崎汽船初のLNG自動車運搬船が竣工 「教育訓練船仕様」で世界最大
川崎汽船で初となるLNG燃料の自動車運転船が竣工。CO2やSoxの排出を大幅に削減する環境性能だけでなく、新たな技術もふんだんに盛り込み、今後に対応する乗務員の教育も担うなど、同社にとってマイルストーンとなる船だ。
全長200m、自動車7080台積み、日本船籍
川崎汽船は2021年3月12日(金)、建造していたLNG燃料の次世代型自動車運搬船「CENTURY HIGHWAY GREEN」が、今治造船グループの多度津造船から引き渡されたと発表した。
同船は7万3515総トン、全長199.98mで、自動車の最大積載台数は7080台。容量2439立方メートルのLNG燃料タンクを有し、船籍は日本に置かれる。
従来の重油燃料の船に比べ、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出を25~30%、大気汚染の原因となる硫黄酸化物(SOx)の排出をほぼ100%、LNG燃料の使用に加えEGR(Exhaust Gas Recirculation)を使用することにより窒素酸化物(NOx)の排出を80~90%、それぞれ削減できる見込むという。
また、船内Wi-Fiやカメラなどを充実させており、船内の遠隔監視による業務効率化や、携帯端末などを用いた船内コミュニケーションの向上を図っているほか、「教育訓練船仕様」で建造されているのも特徴だ。
というのも、LNG燃料船の拡大には、船長や機関長、機関士に求められるIGF(国際海事機関が定める「LNG燃料などの低引火点燃料を使用する船舶に適用される安全コード」)甲種資格の取得が課題。取得要件にLNG燃料船での乗船経験が含まれていることから、本船がその役割を担うべく、設計段階から世界最大級となる最大搭載人員50人としているという。
現在、海運各社は環境への対応を輸送の「品質」にすべく、LNG船などの導入を進めている。川崎汽船はこの船について、同社が掲げる2050年を見据えた環境ビジョンの目標達成に向けた重要なマイルストーンになるとしている。