時代に迎合? 阪急電鉄「有料座席車両」導入は本当に成功するのか
阪急電鉄の有料座席サービスが成功するには

「時代の流れに合わせた」ともいえる阪急電鉄の有料座席サービスの導入。現在も京都本線特急の需要が高いので、有料座席車の成功に期待が持てる。
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まず、日中は待たずに乗れる10分間隔で運転されている。大阪梅田駅の発車時刻も00分、10分、20分、30分、40分、50分とわかりやすい。
次に大阪梅田~京都河原町間の大人運賃は400円(JR西日本の大阪~京都間は570円)と安いこともさることながら、大阪と京都の中心部をダイレクトで結ぶこと。京都本線と並行するJR西日本東海道本線の新快速は、最大12両編成による輸送力の確保(京都本線特急は8両編成)、最高速度130km/h(京都本線特急は115 km/h)で、快適性と速達性を両立しているが、京都で京都市営地下鉄烏丸線に乗り換えなければならず、手間(時間と交通費)がかかる。
利便性がよい半面、先代特急車6300系の座席定員は440人(全体の定員は1180人)に対し、9300系の座席定員は368人(全体の定員は1020人)に減少しており、ほぼ全区間にわたり満席が続く。かといって、京阪電気鉄道やJR西日本のように、編成中の1両を有料座席車に置き換えるには無理がある。
幸い、神戸本線、宝塚本線、京都本線とも、ラッシュ時の一部列車は、大阪梅田寄りに2両増結した10両編成で運転されている。京都本線の特急に有料座席車を導入する場合、9300系+有料座席車2両もしくは、9300系+自由席車1両+有料座席車1両を連結した終日10両編成化することで、ラッシュ時以外でも輸送力の増強が図れる。この手法なら、神戸本線の特急、宝塚本線の急行等でも有料座席サービスの導入が可能だ。
ただ、阪急電鉄にはすでに“贅(ぜい)を尽くした車両”が存在する。6300系と7000系をジョイフルトレイン化改造した6両編成の「京とれいん」だ(7000系は「京とれいん 雅楽」と名乗る)。京都の情緒あふれる和を強調したインテリアデザインは、乗車券のみで利用できる。土休の大阪梅田~京都河原町間の快速特急(6300系列車は快速特急A)で運転され、大阪府内でも“京都の雰囲気”を味わえるのがウリだ。
有料座席車を導入するには、「京とれいん」を超えるものでないと、利用客が納得しないはずだ。プレミアムカーやAシートに比べると、ハードルが高い。