飛行機どこいった? ANA発のスタートアップ企業がなぜか「移動しない」サービスを提供しているワケ

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モビリティ分野のスタートアップ企業トップにインタビューするシリーズ企画。第3回目は、ANA初のスタートアップ企業として、ロボティクス、AI、VR、AR、通信などの技術を結集して、社会課題解決に挑戦しているavatarinの深堀昂代表取締役CEO。

あえてヒューマノイドを目指さず

newmeの使用イメージ(画像:avatarin)
newmeの使用イメージ(画像:avatarin)

 avatarinの考える、理想のモビリティを具現化する存在として誕生したのが、「newme(ニューミー)」と名付けられたアバターだ。avatarinというプラットホームを介して、newmeは瞬間移動し、移動先でのコミュニケーションを可能にする。

 これまで人間の意思をつなぐロボットは、「ヒューマノイド型」と呼ばれるものがほとんどであり、二足歩行が可能な、いかに人間に近づけられるかが努力目標になっているものがつくられてきた。しかし、newmeはまったく人間とは異なる形をしている。

 簡単にいえば、キャスター付きの台の上に、円柱状のものがあり、先端部分に意識を伝送する人の顔が映されたデバイスが付いている。人間とはまったく異なる形状だが、どこかやさしい雰囲気なのは、深堀のデザインへのこだわりだ。

重さ15kg、高さは3段階に調整可能

newmeは日本でつくられている(画像:avatarin)
newmeは日本でつくられている(画像:avatarin)

 無機質に見える円柱部分は、クッション性のある素材でつくられている。色はANAのコーポレートカラーにちなんだ青色だが、他の色にカスタマイズすることも可能だ。

 深堀によれば、「幸せそうな色を心がけている」とのこと。重さも15kgで、高さも3段階に調整可能と、コンパクトに収納できる。歩行速度はおよそ時速1.5kmと、決して早くない。「軽くて遅い」ことでより人間に近づくとの考えからである。

 頭部をつくらず、人の顔が見えるようにしたのも深堀のアイデアで、「顔は見えたほうがいい」という思いがあるからだ。「人間と支えあう存在になってほしい」という。

 newmeはすでに大分県にあるデンケンの工場で量産を行うことに成功している。メード・イン・ジャパンの信頼できる製品だといるだろう。

 newmeの導入にあたっては利用者を制限した「プライベートプラン」と、施設などでの利用を想定し、オープンに利用できる「パブリックプラン」がある。このうち、「プライベートプラン」は月額9万9800円(税別)で提供されており、リモートワークなどでも有効だ。現在の契約件数は非公開だが、正式ローンチ後の増加が期待されている。

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