首都高「10号晴海線」延伸に期待高まる! 今はわずか2.7kmの「盲腸線」も、大躍進の日は近い

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東京都心部の道路交通事情を大きく変えるであろう、「首都高速10号晴海線」延伸計画をご存じか。

もはや「盲腸線」とは呼ばせない

首都高速都心環状線(画像:(C)Google)
首都高速都心環状線(画像:(C)Google)

 もうひとつの理由は、首都高速空白地帯を埋める役割だ。冒頭でご紹介した通り、現在の晴海線は東雲JCT~晴海出入口まで開通している。

 だが、既存の開通区間すら存在していなかったらどうだろうか。C1銀座出入口に程近い築地かいわいはまだしも、豊洲、晴海、勝どき、月島といった地域は、首都高速から遠い地域になってしまう。

 一見すると、豊洲地域については、晴海線がなくても湾岸線や「首都高速9号深川線」が近いように思える。湾岸線の千葉方面からアクセス可能な深川線の枝川出口は、豊洲へのアクセスが良好な構造となっている。だが、それ以外の出入口から豊洲発着をしようとすると、絶妙にアクセスが不便な場所に出入口が存在するため、豊洲から首都高速までは近いようで遠いというケースが多い。

 残る晴海、勝どき、月島の各地域については、どう見ても首都高速から遠い。それは距離的に遠いというよりも渋滞等で

「時間的に遠い」

ということだ。

「晴海線の開通前の2008年頃を思い浮かべて我慢すれば良い」と考える人もいるだろう。仮に晴海線が存在しなかったとしたら、これらの地域の道路交通状況は2008(平成20)年頃に戻るだけなのだろうか。実はことはそう単純ではない。

 なぜなら、まだ見ぬ延伸区間も含めて、晴海線が通過する地域は昼夜問わず人口が増加しているからだ。その要因は、当該地域におけるマンションやオフィスビルの増加だ。これにより、昼夜問わず当該地域を出入りする人々が増加している。

 例えば、都営地下鉄大江戸線の勝どき駅の1日あたりの平均乗降人員を見てみよう。東京都が発表している統計資料に基づいて算出すると、晴海線開通前の2008年度の勝どき駅の平均乗降人員が約8万2000人/日であったことに対し、晴海線開通後かつコロナ禍前の2019年度は32%増となる、

「約10万8000人/日」

だった。

 もちろん、鉄道利用者数の増加量と道路交通量の増加量が同等であるとは限らないが、一駅あたりの利用者数がこれほどまでに増加すれば、少なからず道路交通にも影響が出てくることは間違いないだろう。

 こうした問題を解決するためには、やはり晴海線を開通させることが望ましい。そしてその問題は、現状の東雲JCT~晴海出入口間のみの共用ではなく、晴海出入口から先のC1銀座周辺まで開通させ、銀座方面と湾岸線方面との双方のアクセスを可能にして初めて解決されるのだ。

 古来、盲腸とは人間にとって不要なものと言われてきた。冒頭でご紹介したように、現在の晴海線はまさに盲腸線だ。そんな晴海線が全線開通したら……。見た目のみならず、その実態についても、もはや盲腸とは呼ばせない。そんな立派な路線となっているだろう。

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