首都高「10号晴海線」延伸に期待高まる! 今はわずか2.7kmの「盲腸線」も、大躍進の日は近い
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計画の転機は「日本橋区間地下化事業」
ところが、そんな晴海線の延伸計画に転機が訪れる。そのきっかけが「首都高速道路 日本橋区間地下化事業」だ。
日本橋区間地下化事業の概要は、筆者(赤羽良男、交通ライター)が以前書いた「銀座を走る「KK線」 2030年代以降に廃止、その後生まれる「空中回廊」をご存じか」(7月23日配信)を確認してもらいたい。
この事業の特徴は、西銀座地区から新富町付近までC1の新たな地下ルート「新京橋連絡路」の建設により、既存または将来建設予定の日本橋・京橋・銀座周辺の複数の自動車専用道路が影響を受けることだ。そして、そのうちのひとつに、まだ見ぬ晴海線の延伸区間が含まれているというわけだ。
新京橋連絡路の建設に伴う晴海線の延伸区間の計画変更案は、まだ素案の段階だ。しかしながら、当初の計画から変更すること自体はやむを得ず、その詳細については、2022年2月に東京都と首都高速道路の連名で発表された資料を見て欲しい。
変更箇所は複数あるが、晴海線延伸区間の最大の変更点は下り線のルート変更だ。当初の計画では、C1新富町出口付近から晴海線の下り線が分岐し、築地川公園の地下を通って築地本願寺付近で上り線と合流していた。ところが、計画変更案においては、上り線と同様、C1の銀座出入口付近から分岐して、上り線と同じルートを通過する方針へと変更されている。
計画変更のワケ
このように計画が変更された理由は、主にふたつだ。
ひとつ目の理由は、新京橋連絡路の外回りの終端(新京橋連絡路と従来のC1本線が合流する地点)が、道路構造上の問題により、現在の新富町出口が本線から分岐する地点よりも、分岐点を通過した汐留寄りに接続せざるを得ないことだ。この状態では、新京橋連絡路の外回りからの車を晴海線へ流すことができない。
ふたつ目の理由は、現在のC1外回りの新富町出口の流出路が新京橋連絡路の外回りの掘割部(地面を掘り下げて道路建設する箇所)の終端付近に重なってしまうためだ。掘割部の深さがあれば、その上をオーバーパスする形で流出路を残存させることも不可能ではなさそうだが、前出の資料の計画図を見る限りでは問題の箇所は掘割部の終端付近であるため、流出路を残存させると新京橋連絡路の外回りの頭上高さが明らかに足りない。これでは流出路を維持できないため、新京橋連絡路のみならず、従来のC1江戸橋JCTからの車も晴海線へ流すことができない。
ほかにも細かな計画変更点や理由は多数存在するが、こうした事情により、晴海線の延伸計画は変更を余儀なくされた。そして、日本橋区間地下化事業を絡めた一連の建設計画により、日本橋周辺から晴海周辺にかけて、都心の高速道路事情は大きく変化することとなる。