日本ではなぜ「外国人トラックドライバー」が制限されているのか? 慢性的な人材不足に逆行、そんな業界に未来はあるのか
経済産業省の調査によると、2050年までに輸送・機械運転従事者は「14%」増加する。しかし同業界ではまとまった人数の外国人材を確保できていない。未来はあるのか。
移民に対する活動制限について
読者のなかには、緩和策について、国民の生活が混乱するなか、職種を限定してなお、およそ半年弱しか移民を受け入れないのかと驚かれた人もいるだろう。
しかし、海外の移民政策をみると、主に国内労働者の保護のため、移民の経済活動について、その産業や職種を限定したり、滞在期間を短期間に限定したりすることは全く珍しくない。
例えば、永住を基本とするカナダの移民政策にも同様の移民政策がある。その代表のひとつがSAWP(The Seasonal Agricultural Worker Program、季節農業労働者プログラム)だろう。英名の通り、その活動を農業に限った移民の受け入れ制度であり、滞在が認められる期間は最大で8か月となっている。
日本の運輸業界の今後
中長期的に捉えると、冒頭のイギリスのケースは決して対岸の火事ではない。
現在、日本の運輸業におけるドライバーは人材不足の傾向にある上、後述する通り、現在の日本の法制度では、この業界でまとまった人数の外国人材を確保できない状況にある。
では、将来の人材ニーズはどうだろう。経済産業省が2022年5月に発表した「未来人材ビジョン」のうち、図は今後2050年までに必要となる労働者数の変化を職種別に示したものだが、「輸送・機械運転従事者」は
「プラス14%」
となっている。
加えて、経産省が産業別に分析したデータを参照しても、運輸業全体で必要となる労働者数は「プラス10%」と予測されている。こう考えると、運輸業におけるドライバー不足は、30年後大きく改善する見込みが立てにくい。