日本のEV販売台数、米国のわずか5%! 国内でいまだ根付く「忌避感」の正体

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EVに消極的だった米国市場の販売台数は現在、43万台に達しているが、日本市場はいまだに2万台を超えたレベルだ。違いの背景には何があるのか。

米国の所有者の満足度とは

バッテリー電気自動車(BEV)所有者の満足度(画像:J.D.Power)
バッテリー電気自動車(BEV)所有者の満足度(画像:J.D.Power)

 上図は、EVの満足度を1000点満点でグラフに表したものだ。青が初めてEVを所有したユーザー(EV初心者)の満足度、緑が2台以上EVを乗り継いでいるユーザー(ベテランユーザー)の満足度である。

 赤枠のDriving Enjoyment(運転の喜び、運転の楽しさ)を見てほしい。800点を超えており、ガソリン車でも高性能スポーツカーでしか見られないほどの高評価だ。つまり、米国のユーザーはEVの運転の楽しさに対して、非常に高い満足度を感じていることになる。

 特にEV初心者の満足度はベテランユーザーよりも高くなっている。これはEVを初めて運転し、その動力性能や運転性、操縦安定性の高さを実感し、大きな驚きと満足感を得ている結果だと思われる。

 日本で、EVの運転の喜びや楽しさに気付いている人はどのくらいいるのか。

「スポーツカーは断然ガソリン車に決まっている。EVなんて変速機もないし、バッテリーが重たいから加速性能もコーナリング性能も低いだろう」

といった発想をする人は多いのではないか。

 EVのモーターは時速0kmから最大トルクを発生し、それを高回転まで維持できる。0~100km/h加速ではGTRよりも早い2秒台で駆け抜けるEVもある。軽自動車EVの発進加速とトルク感も、まるで2ランク上のガソリン車に乗っている様だ。

 そして、重たいバッテリーがフロア下に搭載されていることで、重心が非常に低く、前後の重量配分もミッドシップの車に近い。つまり、ロールを抑制しながら狙ったラインでコーナーを攻められる。また、トルクをアクセル開度に合わせて数十ミリ秒で電子制御できる点も、魅力的なアクセルレスポンスの実現につながっている。

 EVはいわば、

「エコなスポーツカー」

なのだ。環境に優しいだけでなく、運転の楽しさや上質な運転フィーリングといった、EVのよさを一度味わったユーザーの大半が、ガソリン車の運転に戻れなくなるのである。

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