自衛隊も物流業界もどうして今「鉄道」に頼るのか? 根本はまったくもって同じ理由だった

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近年、自衛隊が鉄道への関心を高めている。本稿では、鉄道と安全保障の切っても切れない関係を紹介する。

防衛スタイルの変化

61式戦車(画像:写真AC)
61式戦車(画像:写真AC)

 実は、自衛隊が鉄道輸送を活用し始めたのは最近の話ではない。

 かつては、鉄道輸送が主力と言っても良いような状況だった。戦後すぐの段階では、まだ日本の道路網は整備されておらず、自衛隊の移動は鉄道に頼っていた。

 その後、道路網が整備される中で、自衛隊の移動には鉄道ではなく、道路で移動するようになっていった。61式戦車が、日本の在来線のサイズに合わせ、横幅を3m以下としていたのに対して、その後に開発された74式戦車が3mを超えるサイズ(3.18m)となったのは鉄道から道路を使った移動へとシフトしていくことを示している。

 もっとも、当時は冷戦下。戦車部隊はソ連軍が上陸すると想定された北海道に集中配備されており、全国をまたにかけた移動などはそこまで重視されていなかったとも言えよう。1982(昭和57)年から陸上自衛隊は北方機動演習として、本州や九州の部隊を北海道へと送り込む演習を行うようになった。

 これには北海道の広大な演習場で訓練を行うという意味合いもあった。この演習では、鉄道輸送だけでなく、船舶や航空機を使用しての移動が行われた。そもそも、当時は青函トンネルが開通していなかったので、北海道への鉄道移動はそもそも不可能だったという事情もあろう。

 しかし、1990年代以降、自衛隊の任務は様変わりした。ソ連は崩壊し、中国や北朝鮮の脅威への対応が中心となった。こうした中で、北に集中配備されている陸上部隊を九州やその先の南西諸島へ迅速に移動させる必要が生じた。

 2005(平成17)年6月から北方機動特別演習は協同転地演習へと名前を変え、本州や九州の部隊を北海道へ移動させるだけでなく、北海道の部隊を本州に展開させる南方転地演習を行うようになった。

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