中国の「EV支配」はまだまだ遠い 現地メーカーでエンジン開発に携わった識者が語る、中国の「2つの弱点」

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中国EV大手BYDは7月21日、日本の乗用車市場への参入を発表した。今後、中国が世界のEV市場を主導する日は来るのだろうか。

次世代車載バッテリーと交換システムの現状

エネルギー密度(画像:米国エネルギー省)
エネルギー密度(画像:米国エネルギー省)

 充電渋滞を回避するためには充電器の増設が必要だが、急速充電器は相応の費用がかかるため、そう簡単ではない。そこで、以下のような取り組みが既に始まっている。

●省電力空調システム
 BEVの暖房は、応答性に優れるPTC(正温度係数)ヒーターが主流だが、消費電力が大きいため、消費電力が小さいヒートポンプシステムの併用、またはガスインジェクションヒートポンプへの移行が進んでいる。

●次世代バッテリー
 バッテリーは、ガソリン・液体合成燃料に比べるとエネルギー密度が非常に低く、エネルギー密度の高い次世代バッテリーの開発が世界各国で進んでいる。日産は2028年に、リチウムイオン電池比で、エネルギー密度2倍、充電時間1/3、出力単価65ドル/kWhを目標とする全個体式電池の量産化を目指している。

●バッテリー交換インフラとサブスクリプション
 中国の自動車会社である上海蔚来汽車(NIO)が先陣を切った中国のバッテリー交換事業には懐疑的な意見が多いが、2020年、中国政府が推進する「新型インフラ建設」に項目が追加され、2022年1月には車載用バッテリー生産世界1位のCATLが参画を表明。中国市場では、乗用車とトラックのバッテリー交換ビジネスが進むと考えられている。NIOのサブスクリプション料金は、70kWhで1万7000円、100kWhで2万6000円、レギュラーガソリン換算で(\165/L)、約100~160Lに相当する。交換時間は5分で、ガソリン給油と同等だ。車両価格の30~40%を占めるバッテリーを車両価格から切り離せるため、ガソリン車と同等の価格が実現できる。さらに、CATLなどのバッテリー企業主導でバッテリーパックと車体設計の標準化が進めば、バッテリー価格と専用インフラの設置費(1億円程度)が低減する可能性がある。

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