中央区「江戸バス」に提案! 猛暑に向けて「車窓ビュースポット」マップを作ったらどうですか【連載】町バスに乗って(2)

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中央区役所を起点として、ふたつのルートを走るコミュニティーバス「江戸バス」。その魅力と課題点について、ゆるく評論する。

物語の舞台には事欠かないルート

東京都中央区のコミュニティーバス「江戸バス」(画像:下関マグロ)
東京都中央区のコミュニティーバス「江戸バス」(画像:下関マグロ)

 江戸バスは北循環と南循環の路線がある。北循環の主な停留所は中央区役所を出て、

・八丁堀駅
・呉服橋
・本石町一丁目
・東京駅八重洲北口
・新日本橋駅
・小伝馬町駅
・馬喰横山駅
・浜町駅
・水天宮前駅
・人形町駅

などを巡り、中央区区役所へ戻ってくるコース。電車の駅と連動している停留所が多い。
 南循環は中央区役所を出て、

・東銀座駅
・築地場外市場前
・築地本願寺
・聖路加国際病院
・鉄砲洲
・佃二丁目
・月島スポーツプラザ
・晴海三丁目
・勝どき駅

を巡り、最後は中央区区役所に戻るコースだ。

「物語をめぐるマップ」で紹介されている物語の舞台となった停留所をいくつかピックアップしてみた。

●映画
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年)本石町一丁目
『麒麟(きりん)の翼』(2012年)人形町駅
『築地魚河岸三代目』(2008年)築地場外市場前
『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!』(2011年)勝どき橋西
『GOOD LUCK!!』(2003年)佃二丁目。

●ドラマ
『半沢直樹』(2013年)本石町一丁目
『新参者』(2010年)人形町駅
『トッカン』(2012年) 中央区役所
『ヘイ!あがり一丁』(1989年)勝どき駅前 月島区民センター
『八丁堀の七人』(2000年)

●NHK連続テレビ小説
『瞳』(2008年)佃二丁目

●小説
『黒革の手帖』(松本清張/1978年)三原橋
『4TEEN』(石田衣良/2003年)月島区民センター

●時代小説
『鬼平犯科帳』(池波正太郎/1968年)シニアセンター、小伝馬町駅、マイホーム新川
『御宿かわせみ』(平岩弓枝/1978年)新川一丁目

●エッセー
『人形町に江戸の名残を訪ねて』(向田邦子/1977年)人形町駅
『江戸切絵図散歩』(池波正太郎/1989年)本石町一丁目
『幼少時代』(谷崎潤一郎/1955年)人形町駅

 それぞれの項目には見学スポットというのがあり、舞台になっている場所が紹介されている。見たことのある映画や読んだことのある小説などがいくつかあるが、どこで下車しようか迷っているうちに人形町駅まできてしまった。

 ここで下車。いやぁ、暑い。ひとつ前の水天宮前には屋根があって日差しが遮られていたけれど、人形町駅は屋根が何もないので、近所の喫茶店に避難。さて、どこを回ろうかと作戦を立ててみたが、あまりの暑さのため、この日はそのまま帰宅した。

 それにしても、スマホのPDFも見づらいが、紙のマップも決して見やすいわけではない。インターネットで情報があり、スマホなどで見ながら歩けるといいのだが、それは難しいのか。まあ、こういった紙のマップをつくるだけでもけっこうな労力なので、ぜいたくをいってはいけないのかもしれない。

「江戸バス」への提案

向田邦子『女の人差し指』(画像:下関マグロ)
向田邦子『女の人差し指』(画像:下関マグロ)

 帰宅し、近所の図書館に行き、江戸バスの「物語をめぐるマップ」に掲載されていた小説やエッセーを借りてきて読んでみることにした。しかし、小説などはなかなかピンとこなかった。が、エッセーはその土地や時代などがよくわかり、これだと歩きやすいかと思い、ずんずん読んだ。

 その中でも特に響いたのは、向田邦子の『女の人差し指』にある「人形町に江戸の名残を訪ねて」だ。

 中身はまさに今でいえばブロガーのように人形町のお店を巡っている。1977(昭和52)年に書かれた作品なので、当然ながら、もうないお店もあるが、現在も営業しているお店がいくつかある。この本を参考に人形町を歩いてみるのもいいかもしれないが、インターネットにはこの本を参考に散歩をしたブログなどもあるので、それを参考にするのもいいだろう。

 それにしても、一度見た映画でもなかなかそのシーンが思い浮かばなかったりするのだが、ふとドラマ「新参者」で阿部寛が演じる刑事が、人形町の行列ができるたい焼きの名店に並ぶ姿があった。それを見て、たい焼きを買いに行ったことを思い出した。これはマップには載っていないが、考えてみれば、自分自身の目線で自分なりのマップを作ってみるのもいいかもしれない。

 しかし、2022年の夏は殺人的な暑さで不要不急の外出は控えたほうがいいということで、江戸バスでの散歩に出掛けられずにいる。ふと思ったが、バスから降りず、車窓から楽しめるビュースポットを掲載したマップを作ってみたらどうか。それがあれば、バスを降りなくても一周するだけで楽しめる。

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