サステナブル燃料か水素か 航空機CO2削減の切り札 ボーイング対エアバスの構図も

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ボーイングが2030年までに全民間航空機の燃料を切り替えると表明し、注目が高まる環境配慮型燃料「SAF」。エンジンメーカーやエアラインもSAFの商用飛行に乗り出すが、一方のエアバスは代替燃料に水素を打ち出す。「正解」はあるのだろうか。

名門エンジンメーカーも開発加速 SAFの価格は課題

ロールス・ロイスが開発するターボファン・エンジン「パール700」(画像:ロールス・ロイス)。
ロールス・ロイスが開発するターボファン・エンジン「パール700」(画像:ロールス・ロイス)。

 民間航空機をSAFだけで飛行させるにあたっては、エンジンメーカーやSAF製造業者などの協力が不可欠となる。

 イギリスのロールス・ロイスは2020年11月、ボーイング787に搭載されている「トレント1000」ターボファン・エンジンで100%SAFによる地上運転試験を、21年2月には開発中の新型ビジネスジェット向けターボファン・エンジン「パール700」をSAFだけで運転する地上試験も実施し、いずれも成功している。

 またANAは2020年11月8日に羽田~ヒューストン便のA787で、SAFを使用する初の商業運航を行っている。JALも2021年2月に、古着を活用したSAFを国内線で初めて使用した。しかし、これらを本当の意味で商業ベースに乗せるのには、まだまだ課題が大きい。

 世界共通の工業規格「ASTM」はジェットエンジン用に6種類のSAFの使用を認めているが、いずれもジェット燃料との混合を前提としている。6種類のジェットエンジン用SAFは、いずれも製造にあたって大規模な設備投資が必要であったり、使用目的のない副生成物が大量に発生してしまったりといった問題を抱えている。

 このためSAFはジェット燃料に比べて価格が高く、2019年12月6日にマネックス証券のポータルサイト「マネクリ」に掲載された丸紅経済研究所の近内 健氏が執筆した記事によれば、SAFの価格はジェット燃料の2倍に達しているという。

 ボーイングがめざすSAFだけで飛行する民間機の普及には、ロールス・ロイスがパール700の地上運転試験で使用したアメリカのワールド・エナジーのような、ジェット燃料との混合を前提にしないSAFを製造し、かつエアラインが許容できるコストで供給できる業者の増加が大前提となる。